3Rはアニマルウェルフェアの世界にも 

2019 / 11 / 5 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

日本でも少しずつ、アニマルウェルフェア(動物福祉)という言葉を聞く機会が増えてきたように感じます。スーパーで平飼いの卵を見かけることも出てきました。

日本社会における最近の大きな変化は、動物愛護管理法の改正でしょうか。今年7年ぶりの改正が行われ、いくつかの大きな変化がありました。

1つは「八週齢規制」と呼ばれる、子犬や子猫を親元から離してよいとするタイミングが引き上げられました。小さなうちから親と離れると、病気や問題行動のリスクが増えるとされ、捨て犬や捨て猫の遠因となっています。

また不衛生な環境や詰め込みでの飼育をなくすため、飼育施設の大きさや従業員数、繁殖させてよい回数などの数値規制が導入されることが決まりました(ただし、具体的な数値は法律には盛り込めず、省令で定めることに)。そのほかに罰金額の引き上げやマイクロチップの義務化といったことが定められています。

不十分な点はありつつも、ペット動物に対する規制は前身したと言えます。一方で、依然として大きな課題となっているのは、家畜動物、そして実験動物の福祉推進です。

それぞれの実態については、以下の書籍が参考になります。

アニマルウェルフェアとは何か

犬が殺される―動物実験の闇を探る

どちらも、日常生活では意識しないと知らないで済んでしまうものです。私自身も、動物たちが置かれている実態や、EUにおける具体的な規制の内容、アニマルウェルフェアの世界における3R*など、知らないことばかりでした。

*実験動物の福祉推進における3R
Replacement(代替)・・・動物以外の方法に替える
Reduction(削減)・・・動物の数を減らす
Refinement(苦痛軽減)・・・できる限り痛みを与えない

規制をしっかりとかけていくことも重要ですが、様々な抵抗があり、すぐには進みません(次の同法の改正は2025年頃)。その間、私たち生活者一人ひとりが、意識を高めていくことが重要です。

広告効果の面で古くから重視されているビジュアルの代表が、「子ども」と「動物」です。いずれも、子どもの権利やアニマルウェルフェアといった面で、日本が遅れている領域でもあります。共通するのは、子どもや動物を、「個人」や「個体」として尊重するという考え方に対する感度の鈍さにあるのではないでしょうか。

「かわいい」を越えた想像力をいかに持てるかが、問われています。

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