2050の未来に向けて シナリオを描くためのヒント

2018 / 10 / 1 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Monocular Telescope at Eiffel Tower In Paris - creative commons by gnuckx
photo by gnuckx

過去のトレンドや統計から行う将来予測。

望ましい未来を描き、逆算で現在に遡るバックキャスティング。

影響度が大きく、不確実性の高い項目について
分岐の方向性を検討するシナリオプランニング。

パリ協定やSDGsなど社会経済のルールが大きく変化する出来事が発生し、
見通しが立てにくい現在の社会において、
ありうる振り幅を予測して戦略を立てる
シナリオプランニングへの注目が高まっています。

こうした手法を取り入れ、精緻に実践するためには
一定の専門性や費用がかかりますが、
試験的に取り組む段階であれば、
すでに様々な組織から発表されている未来予測やシナリオを
うまく組み合わせて活用することが有用です。

たとえば英エコノミスト誌が発表した
2050年の世界」と『2050年の技術』の2冊。
社内外の専門家が、2050年の社会と技術について展望しています。

国内の研究機関では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が、
低炭素社会の絵姿を描くためにシナリオプランニングを活用しました。
「バーチャルユートピア」と「ローカルフロンティア」の2つの社会像を
分岐の帰結として描いています。

海外では、長期思考を持つ欧州で多様な実戦例が見られます。
テーマはエネルギーのほか、交通や素材、健康と食など、幅広いです。

自治体における取り組みでは、
ニュージーランドのオークランドが描いた5つのシナリオは
視覚的にもわかりやすいです。

これを元に、同市は2050年に向けた戦略を立て、
人口集中と環境劣化のトレンドに対応していくことを目指します。


Auckland Future – Possible Future

海外企業では、シナリオプランニングの手法を形作った
ロイヤル・ダッチ・シェルのほか、
DHLも運輸業の未来をシナリオで描いています。

日本企業では実施していても公表しているところはまだないと思いますが、
持続可能な未来を社会全体で議論していく機運を作る上でも、
こうした手法に取り組み、分析の結果を対話のツールとして共有する例が
増えていくことを期待します。

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