Sustainability Frontline
SDGs達成に向けて トイレの話から考えた量と質の重要性
2018年4月。
インドのすべての村に電気が通りました。
モディ首相が掲げた公約の達成に向けて
国を挙げた取り組みが進められた結果です。
28th April 2018 will be remembered as a historic day in the development journey of India. Yesterday, we fulfilled a commitment due to which the lives of several Indians will be transformed forever! I am delighted that every single village of India now has access to electricity.
— Narendra Modi (@narendramodi) 2018年4月29日
同首相は次々と大胆な方針を発表しています。
2019年までに、すべての国民がトイレを使えるようにする。
2022年までに、使い捨てプラスチックの利用を禁止する。
期限を決めて、野心的な数値目標をトップダウンで掲げることで、
社会課題の解決に向けた動きを強力に推し進めるものです。
しかしこうした目標達成に向けた分かりやすい動きの裏側で、
同時に大切にしなければいけないのが「質」の問題です。
インドで数十年にわたりバイオトイレの普及に取り組む
Sulabh Internationalの方々と話をしているなかで、
そうした思いを強くしました。
日経アジア賞の受賞式で来日していた
ビンデシュワル・パタクさんたちとお話する場に誘っていただき、
インドでのトイレ普及の状況について話を伺うなかで、
繰り返し話題に出てきたのが質の重要性でした。
定量的な目標は、定義や範囲があり、一時的な状態や一つの側面を示すものです。
定義から外れこぼれ落ちる人。
物だけあっても、使えなくては、使われなくては意味がない。
活動による結果が、問題解決につながっているのか。
すべての村に電気が通っても、頻繁に停電がおき、電気を安定して使えるわけではありません。
すべての人がトイレを使えるように設置をしても、人々が使うかどうかは別問題であり、
またずっと使えるように維持されていくとも限りません。
社会課題の解決にあたっては、大きな定量的な目標を掲げることと同時に、
行動変容を促すために持続的に続けられる仕組みを構築し、
教育を通じて人々の意識を変えていくことが重要です。
持続可能な開発目標SDGsでも、わかりやすいターゲットが設定されていますが、
真にSDGsが目指すゴールを達成するためには、
量だけに目を向けるのではなく、同時に質もセットで考えていくことが必要です。