欧州GDPR施行の裏側に見るプライバシーへの意識の違い

2018 / 7 / 29 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

data security privacy
photo by Book Catalog

早めの夏休み第1弾で、シンガポールと
そこから船で1時間のビンタン島に行ってきました。

島があるのはインドネシアのため、
チャンギ空港に着いたらすぐに港に移動して船で出国。

空と海の玄関口を通過するなかで、改めて様々な場所で自動化と、
指紋認証やカメラなどのセキュリティシステムの導入が
進んでいることを実感しました。

こうした場に出会うと、便利さの裏側にある
「個人情報」や「プライバシー」といったテーマについて考えさせられます。

欧州では今年5月、多くの日本企業にも関わってくる
「一般データ保護規則(GDPR)」が施行され、
個人に関するデータを企業が利用する上でのルールが定められました。

・データ処理(保持期間、担当者の設置、漏洩時の対応)
・域外へのデータ持ち出し(原則禁止)
・データ取得における同意(わかりやすい同意、自由に撤回できる権利行使の保障)

など、かなり厳密な規則が定められ、違反時には多額の罰金が科せられます。

GDPRの取りまとめに携わった欧州議員のインタビューを読むと、
その背景にある考え方がとてもよくわかります。

「欧州の個人情報保護、世界の標準になる」 GDPR担当の当局者が見せる自信
https://globe.asahi.com/article/11529410

翻って日本の状況はどうかというと、
個人情報保護法の改正などの動きはありますが、
欧州委員会からは個人情報保護に関する基準を
十分に満たしていないという評価を受けています。

国の対策も、人々の意識も、進んでいるとは言えません。

私はこのテーマは専門ではないですが、
背景にはプライバシーに対する捉え方の違いもあると考えます。

日本は、内と外を明確に分け、
見られたくない部分を見られないようにするためのもの。

一方で欧州は、個人の選択の権利を保証するための
線引きとしてのプライバシー。

上記のインタビューには、こんなコメントがあります。

私たちには、自分の人生を決める権利がありますが、知らない間にそれが操作されているかもしれないということです。ですから、誰もが、少なくとも追跡されていもいいのか、あるいは追跡されたくはないのかを選ぶ権利と、それができる環境を持つべきなんです。つまり、私がこれを使いたくない、と言えば、そこから抜け出せるようなしくみが必要です。

主体的に権利を行使するためのものと、隠すためのものとでは、
同じプライバシーでも捉え方が変わってきます。

国内で議論を進めていく上では、こうした違いも踏まえていくことが大切です。

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