目指すは「再エネのサウジアラビア」~スコットランドの取り組み

2018 / 4 / 30 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks

昨年末、WWFのウェブサイトにこんなニュース記事が掲載されました。

SCOTLAND A ‘WORLD LEADER FOR RENEWABLES’ IN 2017
2017年の「再エネ世界リーダー」スコットランド
https://www.wwf.org.uk/updates/scotland-world-leader-renewables-2017

英国の北部約1/3の国土を占めるスコットランドは、1999年に自治政府が確立され、多くの分野で独自の政策を展開しています。その独自路線のひとつが「再生可能エネルギー大国を目指す」という方針です。

欧州北西部に位置し三方を海に囲まれたスコットランドの領海には、欧州全体の洋上風力・潮力リソースの実に1/4があると言われます。2007~2014年にスコットランド首相を務めたアレックス・サモンドは、「風力・潮力エネルギーを活用すれば、スコットランドは『再エネのサウジアラビア』になることも可能」と訴えました。

スコットランド政府はターゲットとして、2020年までにエネルギー需要総量(電力・熱・交通需要の合計)の30%を再エネで供給することを掲げ、電力については2020年までに100%再エネ化を目指しています。

実績データによれば、2016年に電力需要の54%がすでに再エネで供給されており、総需要についても2015年時点で17.8%を達成。さらに、既存の再エネ施設の総出力容量を上回る規模の建設計画が進んでおり、目標実現に向けて着々と容量拡大が進んでいます。

現時点での再エネ供給の中心は陸上風力発電と水力発電です。潤沢な洋上風力・潮力エネルギーリソースの活用は最近実用化が始まったばかりで、本格利用はまだまだこれからです。2017年には世界初の浮体式洋上風力発電施設が稼働開始、また試験運転中の浮体式潮流発電タービンの容量拡大も順調に進んでおり、将来が期待されています。

現在スコットランドの再エネ供給の主力となっている陸上風力は、再エネ供給容量の60%以上を占めています。スコットランド最大の都市グラスゴーの近郊には、英国最大の陸上風力発電施設であるホワイトリー・ウィンドファームがあります。215基のタービンが林立する壮大な規模の発電所ですが、パークレンジャーが常駐し、子供向け野外活動プログラムもある自然公園として公開されています。55㎢の敷地には全長130㎞のトレイルが整備され、サイクリストの人気スポットになっています。

参考リンク:
・Scottish Government: Action on energy in Scotland
http://www.gov.scot/Topics/Business-Industry/Energy/Action
・Scottish Energy Strategy: The future of energy in Scotland
http://www.gov.scot/Resource/0052/00529523.pdf
・Outdoor pursuits at Whitelee Windfarm
https://www.scottishpower.co.uk/whitelee/outdoor-pursuits


出典:http://www.gov.scot/Resource/0052/00529523.pdf

杉本優@スコットランド

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