Sustainability Frontline
市民社会が企業を採点 エシカル通信簿
国内で最もエシカルな企業はどこか。
食品業界では味の素。化粧品業界では花王。
2017年、2018年に行われた第1回、第2回の
「企業のエシカル通信簿」の結果です。
http://cnrc.jp/topics/topics-408/
これまでの評価対象企業は、4業界・22社。
各社の結果はこちらからご覧になることができます。
第1回 食品・アパレル業界
第2回 化粧品業界 / コンビニ・宅配業界
主催しているのは「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」。
SDGsのゴール12「持続可能な消費と生産」の実現に向けて
消費者に判断の基準となるわかりやすい情報ツールを提供しようと、
30以上のNPOによって結成された団体です。
調査票は、以下の全7項目・61頁。レーティングは項目ごとに行われます。
(各々の価値観で重みづけが異なるため、総合評価はなし)
・持続可能な開発(社会)
・環境
・消費者
・人権、労働
・社会、社会貢献
・平和・非暴力
・アニマルウェルフェア
各分野の専門家がまず公開情報を元に各社を調査して企業に送付し、
フィードバックを踏まえて修正・再確認を実施。
回答のなかった企業については独自の調査結果をそのまま掲載しています。
市民社会によるこうした企業評価の取り組みは、
総合的なものとしては、日本初と言えます。
国内でも、より専門的な領域に特化した例としては、
WWFの「企業の温暖化対策ランキング」や
金融機関を評価した「Fair Finance Guide Japan」などの例があります。
また海外では、食品・飲料業界のサプライチェーンを評価する「Behind the Brands」や
人身取引や強制労働への対応をみる「KnowTheChain」など、
投資家・評価機関を巻き込み、改善に向けて企業と協働するなど、
大きインパクトを及ぼすまでになっています。
企業評価の取り組み自体は、投資コミュニティの方が活発で歴史もあり、
分析もより精緻です。
そうした中で、こうした動きに日本の市民社会が中心となって取り組んでいくことに、
私は大きな意味があると考えます。
1番の理由は、この取り組みを行っていくこと自体が、
市民社会と企業にとって、双方向の学びの場となるからです。
一市民として、企業をどう見るか、
という教育を受ける機会はほとんどありません。
その点からも、この評価作業にできるだけ多くの人が関わり、
評価する作業を通じて学ぶ機会を提供できるような仕組みになると、
取り組みの意義がさらに出てくると考えます。
実際、この質問票を読み解くという作業だけでも、とても勉強になります。
企業側も、初年度は10社中2社しか回答がなかったものが、
2年目は12社中8社に増えています。
これはESGに対する関心が社会全体で高まっていると共に、
市民社会と対話していくことの意義を
見出すようになってきているから、と言えるのではないでしょうか。
ただし、61頁もの調査票を全てチェックするという作業は、
市民社会側にとっても、企業側にとっても、それなりの負担となります。
(私も間接的にですがこうした評価作業に関わることがあるので、
その大変さはわかります。。)
負荷を軽減しながらどのように精度を高めていくか。
評価に限界があることを前提としつつ、結果をどう生かしていくか。
このプロセスにどうやってできるだけ多くの人を巻き込んでいくか。
私自身も、これまでの経験をどう生かせるか、
一市民としてできることを考えていきたいです。