独自認証はあり?なし? 英国フェアトレードラベル騒動

2017 / 10 / 3 | カテゴリ: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Fair Trade

今年の夏、英国でフェアトレードをめぐる大きな論争がありました。

きっかけはSainsbury’s(セインズベリー)という大手小売り企業が発表した
「フェアトレード認証をやめて独自の認証制度をスタートします」
という方針。

詳しくはピープル・ツリーさんの現地からのブログに詳しいですが、

「フェアトレードだけどフェアトレードじゃない!? Fairly Traded Teaの出現で荒れる英国フェアトレード市場」
「フェアトレード危機! Farily Traded Teaと続く企業&メディア関係者限定イベントに参加しました!」

簡単にまとめると、

・Sainsbury’sはフェアトレード商品の導入を積極的に進めてきた英国の先進企業の1つ

・2017年7月から紅茶でパイロットプロジェクトをスタートし、
独自の認証基準に基づく「Sainsbury’s Fairly Traded」ラベルへの移行を発表

・35の主要原材料に関する自社基準Sainsbury’s Sustainability Standards
に基づき認証するものとする

・従来製品に表示していた緑と青のフェアトレードラベルは取得を取りやめる

・最低買取価格は維持、生産者へのプレミアム価格の支払いは基金を立ち上げ
Sainsbury’s財団を通じて能力開発などの各種支援プログラムを実施

といったものです。

「築いてきたフェアトレードに対する信頼に混乱をもたらす」
(FairtradeではなくFairly traded)
などNGOや市民からは大きな反発があり、同業他社も追随する動きを見せたり、
あるいは逆にフェアトレード認証を強化する動きがあったりと、
関連して様々な動きが起きました。

ただ独自認証を持つこと自体は、決してSainsbury’sに限った話ではありません。

日本でも目にするチョコレートのキャドバリーは昨年の11月、
英国とアイルランドのすべてのチョコレートを対象に
独自のCocoa Lifeラベルに切り替える(=フェアトレード認証は消える)
という発表をしています。

Cocoa Life sustainability programme expands to cover Cadbury chocolate through new partnership with Fairtrade
http://www.fairtrade.org.uk/en/media-centre/news/november-2016/cocoa-life-and-fairtrade-partnership

しかしこちらは大きな騒動にはならず、フェアトレード認証を行う
フェアトレード財団はSainsbury’sには否定的、
キャドバリーには好意的と正反対の反応を見せています。

両者の違いを見てみると、キャドバリーの取り組みは

・フェアトレード財団とのパートナーシップの下、
Cocoa Lifeという農家支援プログラムを10年に渡って展開しており、
その延長線上での独自基準への移行であること

・農家支援に対する施策への投資を同時に発表し、
サプライチェーンへの取り組みを拡大する一環としての動きであること

フェアトレード認証の基準を緩めず、独自基準の導入にあたっても
できるかぎりの具体性と透明性を持っていること

といった点が挙げられます。

たしかにSainsbury’sがなぜ独自基準に移行するのかという説明をみても、
「気候変動への緊急な対応が必要」
「これまでのフェアトレードの枠組みを超えた新しい仕組みが必要」
といったことが言われていますが、
十分に説得力があり納得できるかというと、曖昧な点が残り、
結局認証にかかる費用を抑えたいだけと思われてしまっても仕方がないところがあります。

フェアトレード認証が十分に広まっているからこその一連のこの騒動。
日本はまだ認証自体を広げるフェーズではありますが、
学ぶことが多くありそうです。

photo by lilivanili

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