Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
カナダ、新食生活指針で植物性食品の重要性を強調
2017 / 8 / 4 | カテゴリー: 資源・水・生物多様性 | 執筆者:Yurie Sato 佐藤百合枝
2016年、アメリカの保健福祉省と農務省による
食生活指針策定の初期段階で、
同指針において初めて「国民の健康」に加えて
「環境」への影響を考慮し、
動物性食品より植物性食品を推奨することが提案されていました。
ところがそのあと、
全米肉牛生産者協会や全国豚肉協会などのロビーングにより
最終版では肉の摂取を推奨する内容になり、
環境や栄養関連の団体から批判の声が上がっていました。
(※この指針は、軍隊の食事や低所得者向けの食料補助での栄養の基準となることから
食肉の消費動向に大きな影響を与えると言われています)
そんな中、世界有数の牛肉生産国(産業規模は260億ドル以上)のカナダが、
2018年に発表予定の食生活指針で
動物性の食生活から、より植物性ベースの食生活への移行を推奨し
乳製品の推奨食品からの除外を提案していることが注目されています。
この指針では
卵、魚介類、鶏肉、赤身肉、低脂肪乳・ヨーグルト、減塩チーズ等の動物性食品は
日常的に摂取してもよいとしていますが、
主に、野菜、果物、全粒穀、豆など
高タンパク質の植物性食品を摂取することを推奨しています。
植物性食品は動物性食品に比べて、環境負荷が低いことも明記されました。
カナダの他に、国として植物性ベースの食事を促進している事例として
オランダは食生活指針で肉の消費は週2回までを推奨しているほか
デンマークでは、肉への課税も検討しています。
国際連合食糧農業機関(FAO)は、
このような指針を出す国がまだ限定的であることを指摘した上で、
より多くの国が、地球や人々の健康を配慮して
植物性の食生活を推奨することを求めています。