何歳からOK? 子どもの結婚と児童労働

2017 / 7 / 17 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

LC-DIG-nclc-01379 Child Labor Industrial
photo by Children’s Bureau Centennial

ニューヨーク州で子どもが結婚できる年齢を14歳から17歳に引き上げ。

これ、最近で最も驚いたニュースの一つです。
米国では14歳から結婚できた(正確にはできる州があった)んですね。

州法では、最低年齢は18歳。
ただし、保護者と裁判所の許可があれば14歳から可能で、
2000年からの10年で、3000人がこの制度を利用して結婚したそうです。

「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない」
というコピーで有名なNGOプラン・インターナショナルの
Because I am a Girl」キャンペーンなどで、
アジアやアフリカ、中東での現状は知っていましたが、
それだけで世界の状況をわかった気になっていました。

早すぎる結婚は、自身の主体的な選択ではないことが多く、
教育を受ける機会がなくなり、DVなどにもつながりやすく、
子どもたちの未来を奪うことにつながります。

同様に、子どもたちの未来を奪うとして、
禁止に向けて取り組まれているのが児童労働です。

ところで、国際的にはどういう条件が児童労働にあたるか、知っていますか?

子どもを児童労働から守るNGO ACEのページに詳しいですが、

・子どもとは18歳未満すべての人で、
生きる権利、教育を受ける権利、守られる権利、参加する権利がある(子どもの権利条約)

・子どもには教育を受ける権利がある(義務教育、14歳まで)

・働いて良いのは義務教育を終えてから(15歳未満、途上国では14歳未満)、
軽易な労働は13歳から可(途上国は12歳でも○)

・有害・危険な労働、搾取する労働には従事させてはいけない

そして、上記の条件に該当する「児童労働(Child Labour)」と、
子どもにとってもプラスになる「子どもの仕事(Child Work)」は区別されます。

最近では、ビジネスと人権フレームワークや現代奴隷法の影響で、
児童労働を行っていないこと、児童労働を防止することを宣言する企業が増えてきました。

しかし、本当に児童労働を防止しようと思ったら、職場から排除するだけでは不十分です。
児童労働は結果であり、根本の問題である教育の必要性に対する啓発や、
親の就労だけで生活できるような公正な労働環境の確保が同時に必要だからです。

NGOや労働組合による児童労働に取り組むネットワーク(CL-net)がありますが、
企業の参加はまだないそうです。
児童労働の防止にコミットしている企業には、是非こういった場に参加して
問題の根本解決に取り組んでいっていただけるといいなと思います。

参考:
児童労働・強制労働が行われているかを調べる上で、有用なデータベースがあるのでご紹介します。
米国 労働省国際労働局 Annual report on the worst form of child labor
https://www.dol.gov/agencies/ilab/resources/reports/child-labor/findings
・各国の人数や課題、関連規制などの情報が国ごとにまとまっています
List of Goods Produced with Child Labor ad Forced Labor
https://www.dol.gov/ilab/reports/child-labor/list-of-goods/
・製品ごとに検索可能で、どの地域のどの物品のリスクが高いか調べることができます

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