Facebook、Googleのテロ対策 これからのプラットフォーマーとしての社会的責任

2017 / 6 / 21 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by greyweed

英国で連続するテロ事件。。。正直ショックです。
数年前に、襲撃事件があった直後のチュニジアのバルド国立博物館に
行ったことがありますが、かなりの衝撃だったことを思い出します。

だからといって、既存の法制で対応できるにも関わらず
テロ対策に必要を口実に共謀罪を通していい理由には全くなりませんが。

FacebookGoogleから相次いでテロへの対応に関する取り組みが発表されました。
英メイ首相と仏マクロン大統領の対策強化の声明後、すぐの動きです。

すでに取り組んできたことも含め、主な内容は3つ。

1つはAIを活用した自動検閲の強化。

機械学習でテロを煽動する投稿を見分け、
該当する投稿のできるだけ公開前の削除に取り組みます。

画像認識により、テロリズムに関する情報や著名なテロリストを見分ける。
キーワードを手掛かりに、煽動する投稿や賛同するコメントを見つける。
人のつながりをたどることで、該当する集団を特定する。
偽アカウントを発見し、使えないようにする。

YouTubeでは、基準にははっきりとは引っかからないけれど
関連性の高いと思われる動画について、検索・表示されにくくすることで
一定の表現の自由を担保しながら拡散に歯止めをかける試みを進めています。

同時に人力での対策も強化します。

AIでは見分けがつかない投稿の判断など、
Facebookでは約3000人を増員して対処にあたります。
また法律やエンジニアなど各分野から150人以上の専門家がテロ対策チームとして集められました。

3つ目は連携。

同業者間では、すでにMicrosoftやTwitterとテロ関連コンテンツを見分ける
データベースの構築を進めています。

予防としてはヘイトの解消に教育などを通じて取り組むNGOを支援します。
インターネット上だけでなく、リアルな空間でも、
憎悪や差別に反対するカウンターの力をどう盛り上げ、広げていくか。

YouTubeでは勧誘コンテンツへの入り口で引き込まれそうになっているユーザーを
反ヘイトのコンテンツにリダイレクト(自動的に誘導)することで
思いとどまらせる施策も導入します。

暗号化対策は、どう解読し、対応につなげていくか、以前難しさが残る課題です。

対策が表明されたFacebookのウェブサイトでのカテゴリーは、「Hard Questions(難題)」。
本当に簡単な問題ではありません。

特に捜査機関への情報提供については、人権の問題が常につきまといます。

LINEが捜査協力への要請件数や対応割合について開示しているように、
透明性を高めていくことは必須です。

また情報が提供されたことについて、本人が情報を得られることも重要です。
スウェーデンでは自身の個人情報が利用された際に通知が届くそうです。

これまで、企業の社会的に責任について、売上高とGDPが対比され、
一部の国より大きな存在となった企業としての責任が語られてきました。

今後は、プラットフォームビジネスが主流になる中で、
ユーザー数と人口が対比されるようになります。

プラットフォーマーとしての社会的責任が本格的に問われる時代に来ています。

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