“Project Gigaton” サプライチェーンのCO2を減らす試み

2017 / 4 / 27 | 執筆者:Yurie Sato 佐藤百合枝

写真:Walmartプロジェクトページ

2017年4月、米小売大手のウォルマートは、
2030年までにサプライチェーンの温室効果ガス「1ギガトン」(年間2.11億台の自動車分)の削減をめざす「Project Gigaton」を開始しました。

CDPの調査によると、
サプライチェーンのGHG排出量(スコープ3)は
自社事業運営からの直接排出(スコープ1)や
購入エネルギー製造時の排出(スコープ2)を足した量のなんと4倍。

しかし、スコープ3に取り組む企業はまだ限定的で
CDPの2016年調査でスコープ3について総量目標を設定している日本企業は、
回答企業全体のうちわずか57社です(20%)。

Project Gigatonでは
エネルギー、農業、廃棄物、包装、森林保全、製品利用を6つの柱にし、
プロジェクトに参加するサプライヤーは
この中から1つ以上のテーマに対してコミットを行います。

ウォルマートはWWFなどのNGOと協働で開発したオープンソースのツールキットを活用し、
10年以上かけて蓄積してきた同社のGHG削減に関するノウハウを
動画や資料で共有します。

「エネルギー目標の設定方法」や「森林保護への取り組み方」といった
基本的な質問への回答から、
取り組みに関する具体的なアドバイスの提供、
取り組みが進んでいる企業には、さらに野心的なターゲットの設定支援を行うそうです。

ツールキットでは、進捗を計測する手法も共有し、
Walmartが年に一度、進捗状態の確認を行います。

まず食品、パーソナルケア、エレクトロニクス、アパレル分野の
250のトップサプライヤーと優先的に取り組みを進めていくそうですが、
General millsやUnilever、Land O’lakesが
さっそくプロジェクトへの参加を宣言しました。

農業協働組合のLand O’lakesは、
牛乳の生産から排出されるすべてのCO2の量を計測し
2,000万ヘクタールで肥料使用の最適化や土壌改善、水利用の管理を行う予定で、
2025年までに1,000万トンのCO2を削減する目標を掲げています。

パリ協定の目標を達成するには、
世界のCO2排出量を年間335ギガトンに抑える必要があります。

NPO・企業・大学連合のThe Sustainability Consortiumは、
現在サプライチェーンからのCO2排出は、世界全体の排出量の60%に及ぶと報告しており、
気候変動対策には、サプライチェーン上の排出量削減が大きなカギとなります。

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参照
Walmart Launches Project Gigaton to Reduce Emissions in Company’s Supply Chain
http://news.walmart.com/2017/04/19/walmart-launches-project-gigaton-to-reduce-emissions-in-companys-supply-chain

Walmart’s plan to lift a gigaton of carbon from its supply chain
https://www.greenbiz.com/article/walmarts-plan-lift-gigaton-carbon-its-supply-chain

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