Sustainability Frontline
SDGsへの貢献を語る上でインパクト評価はなぜ不可欠か
photo by SKR_RGR
「ソーシャルインパクト」
「インパクト評価」
「SROI」
ここ1〜2年くらいでしょうか。
企業やNGOなどあちこちでよく耳にするようになったワードです。
先日、社会的インパクト評価の最前線で活動する
Social Value InternationalのJeremy Nicholls氏の
講演を聞く機会がありました。
「インパクトは評価することが目的ではない。
評価の結果を踏まえ、変化を最大化させる判断をすることが真の目的」
そのなかで一番印象に残った内容です。
(そのままの言葉ではなく、私の理解です)
インパクトをマネジメントするための
インパクト評価である。
よく考えると当たり前のことですが、
評価・測定を行うのはPDCAを回すためです。
説明責任を果たすため、という反論もありそうですが、
それについてはアカウンタビリティを日本語で
「説明責任」と訳していることに問題があるという指摘にはなるほどと思いました。
説明責任は、説明をすれば(ができれば)それでOK、
責任を果たした、という印象です。
しかし本来、責任はどこにあるかというと、
何かの行動を行い、その結果としてよりよい成果を導くことに対して責任があります。
行動の結果に対する責任が問われないのが、現在の「説明責任」。
説明すること、評価することそのものは責任の履行ではありません。
では説明責任を果たすためのCSR情報開示/サステナビリティ・レポーティングと
インパクト評価はどう違うのか。
UNDPによる包摂的な開発のためのイニシアチブBCtA(ビジネス行動要請)と
とサステナビリティ・レポーティングのガイドラインを発行するGRIが
協働で出したレポートでの整理が参考になります。
MEASURING IMPACT: How Business Accelerates the Sustainable Development Goalsより
サステナビリティ・レポーティングの目的は、透明性を高め適切に説明すること。
一方のインパクト評価は、社会・経済・環境の目標に対する進捗を示し伝えること。
この1年で同じく流行ワードのようになっている「SDGs(持続可能な開発目標)」について、
企業が自社の取り組みとSDGsの目標を関連付けて報告している例が多く見られますが、
単純にそれだけでは不十分なことが上記のことからもわかります。
なぜならSDGsは2030年に向けた目標であり、
SDGsへの貢献をうたうのであれば、
関連するSDGsの目標を従来のレポーティングに加えるだけではだめで、
インパクト評価の視点が不可欠になるからです。
だからといって、インパクトの評価は一朝一夕にできるものではなく、
適切な評価には、実施の企画段階で
・何のために行うのか
・評価の結果によって何を判断するのか、何を変えるのか、どんなデータが必要なのか
という議論をすることが重要です。
評価には当然コストもかかります。
活動を行う担当部門や当事者は、実行で手一杯になりがちで、
そこまで手が回らないことも多いです。
現在、企業による複数年にわたる途上国向けプログラムを
コミュニケーション面から支援しているのですが、
この立場で関わることで、インパクトの測定に貢献できることが多くあるなと感じています。
また改めて報告の機会を持ちたいと思います。