LIXILが挑む世界のトイレ問題 経済損失は22兆円

2016 / 10 / 4 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

The squat toilet - What you need to know when traveling
photo by Mighty Travels

トイレのトラブル8000円〜♪
というCMがありますが、
実際にトイレのトラブル(未整備)が原因で
世界で起きている損失は膨大な金額にのぼります。

約22兆円ー

早期死亡による人的損失、罹患した病気の治療費、
病気による生産性の低下、トイレを探す時間など、
十分な衛生環境がないことにより、2015年には
世界で約22兆円にのぼる経済損失が発生しました。

経済損失の総額はアジア太平洋地域が最も大きく、
インドは1国だけで世界の損失のほぼ半分を占めます。

LIXILグループが国際NGOのWater Aidなどとともに行った調査により
明らかになりました。

衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析
http://www.lixil.com/jp/sustainability/pdf/the_true_cost_of_poor_sanitation_j.pdf

LIXILはこの問題にイノベーションを通じて取り組んでおり、
水をほとんどあるいはまったく使わないトイレを開発。
すでに各国で実証実験や販売に着手しています。

参考:LIXILアニュアルレポート2016 P26〜P27

グループ会社の米American Standard Brandが開発したのが、
新興国向けの簡易トイレ「SaTo」(Safe Toiletの略)。

汲み取り式トイレに簡単に設置可能で、
わずか500ミリリットル未満の水で洗浄でき(通常の西洋式トイレは13リットルが必要)、
流した後はフタが閉まって悪臭や病気を媒介するハエなどの虫が上がってくることを防ぎ、
1台あたりの価格は5ドル未満です。

2012年にフィールドテストに成功した後、
実証実験を重ね、販売をスタート。
今年5月には事業部を設立し、
衛生設備が未整備の地域のNo.1ブランドを目指して
事業展開を本格化させています。

こうしたBOP向けの製品を開発し、事業として発展させていく上で
同社の取り組みには参考になる点が多くあります。

●外部パートナーとのコラボレーション
Water AidやBRAC、Save the ChildrenなどのNGOと協力し、
バングラデシュやケニアなどのアジア・アフリカ諸国で実証実験を実施。
ユーザーからのフィードバックを開発に積極的に反映しました。

●外部資金の活用
研究開発の過程では、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金を活用し、
開発を進めてきました。

●顧客の巻き込み
1台買うと1台が寄付されるコーズ・マーケティングを展開。
“Flush for Good”というキャンペーンを通じて、
50万台以上を寄付しました。

●寄贈して終わりではなく、持続的な視点を持つ
ネパールなど震災の被災地に緊急支援として寄贈しているほか、
復興段階にあるハイチでは、トイレの設置や維持・管理の
育成トレーニングに取り組み、持続的に地域に貢献しています。

●現地で生産する、現地の風習にあわせる
簡単な構造で現地でも生産ができ、2ドル〜5ドル未満の低価格で販売。
地域の習慣にあわせ、便器型や和式型などの製品バリエーションも開発しています。

●トップ&長期のコミットメント
トップもこの課題に強い関心を持って社内外で発信しているほか、
2020年までに1億人以上の衛生環境改善を掲げて取り組みを進めています。

こうした取り組みにより、すでに累計での寄贈・販売台数は100万台を超えました

今後この取り組みをさらにどのように加速させていくのか、注目です。

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