Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
日本からは花王 WWFが選ぶサステナビリティ調達優良企業は?
WWFは、6月に、消費財・小売・食品企業の業界団体Consumer Goods Forum(CGF)
の会員企業256社の開示情報をもとに
サステナビリティ調達の取り組み状況についての調査結果を発表しました。
調査対象となった原材料は
・森林破壊と気候変動への影響が大きい:パーム油、紙、パルプ、牛肉、木材、乳製品、豆
・水資源の使用量、汚染度が高い:綿、サトウキビ
・乱獲が懸念される:マグロ、白身魚、熱帯エビ、養殖エビ、養殖鮭、食物連鎖の低層にいる小魚
の14点です。
写真:同レポートP8:調査対象14品目
WWFは、上記14品目についてCGF加盟企業256社が調達している量の割合が
世界全体の生産量において大きいことを指摘した上で
写真:同レポートP6:14品目の世界全体生産量
におけるCGF加盟企業256社の調達量(緑:小売業、青:製造業)
・アニュアルレポートでサステナブル調達について開示しているのは対象企業のうち48%
・調達方針や戦略について進捗報告を行っているのは46%
・森林破壊ゼロ方針を出しているのは36%で、それに対して期限付きの定量目標を設定しているのは20%
・上記14の原材料に対して期限付きの定量目標を設定しているのはわずか9%(以下の22社)で
目標通りに取り組みが進んでいるのはそのうちの14社のみ
であることを報告し、サステナビリティー調達の実現に向けて本格的に行動を起こしているのは
一部の企業のみであると訴えています。
写真:同レポートP8:調査対象14品目に対しての調達取り組みで「優良」と評価された22社
日本企業も、味の素、伊藤園、明治、キッコーマン、キリンホールディングス、
資生堂、伊藤忠食品、イオン、ローソンなど77社が調査対象でしたが、
今回優良企業と評価されたのは花王のみでした。
WWFは、CGF加盟企業に対し
2020年までに全ての調達においてWWFの推奨基準をクリアした調達先だけを採用することを目指し
実現のための期間付き定量目標と行動計画を提示することを呼びかけています。
先日参加したFSCジャパンセミナー「企業の責任調達」では
花王の購買部門統括の方が
「花王は消費者の意識が高まっていくことを予測し、先進的な調達方針を打ち出してきた。
環境NGOからの圧力は年々高まる一方、日本の消費者意識の高まりは感じない。
人々の意識が変わらないと、責任調達にかかるコストは全て売り手が負担することになる。」
と語っていました。
しかし世界全体を見渡すと
ニールセンが昨年世界の消費者対象に行った調査では、
「サステナビリティにコミットする企業にもっとお金を払ってもいい」
と回答した人の割合が2013年の50%から2015年には66%に増加しており
とくに1980年代から2000年代初頭に生まれたミレニアル世代の若者においては
その割合が73%に及びます。
ニールセンのレピュテーション担当者はこの調査について
「『社会的責任を果たし環境にやさしい』というイメージを若者に与えられる企業は
市場シェアの獲得機会に加え、今後大きな購買力を持つことになる
ミレニアル世代との強力なつながりを築くチャンスも手にしている」と述べています。
グローバル市場で事業を行う企業はもちろん
変化の早いいまの時代、
日本の消費者にもいつ変化が訪れるかわかりません。
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参照:
WWFプレスリリース
WWF報告書 Slow Road to Sustainability
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