世界の社会課題を現地からレポート! 「2016年大統領選挙と米国の気候変動対策」

2016 / 7 / 8 | 執筆者:EcoNetworks

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Photo by Paul O’Rear

科学技術やイノベーション分野でアメリカが最前線にいることは間違いありませんが
気候変動に対して行動を起こすためのリーダーシップは不足していると感じます。
なぜ世界で最も先進的な経済が、
このグローバルな問題で合意に達することができないのでしょうか?

気候変動を深刻な問題と捉えるアメリカ人が他の先進国の人々に比べて少ないことが
理由のひとつです。
しかし、この数年間気候変動について懸念する人の数は増え続けています。
大統領選挙がわずか数ヶ月後に迫っていますが、
今後、気候変動問題に対する米国のリーダーシップはどうなっていくのでしょうか?

近年で最も先進的な大統領の一人であるオバマ氏は
科学界の助言に基づき
温室効果ガス(GHG)の排出量を抑制するために様々な政策を制定し
産業界への規制も積極的に行ってきました。
結果、GHG排出量は近年横ばいになっています。

私は政治アナリストではないですが、
11月の選挙では、クリントン氏はトランプ氏に一般投票で7-8%の差で勝つと考えています。

ヒラリー・クリントン氏が勝った場合、
オバマ氏の政策を引き継ぐことになるでしょう。
さらに、彼女は気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)へ
より積極的に関与していくことが期待されます。
彼女は政治家・国防長官としての経験をいかし、
複雑な利害関係や気候変動問題に関する国際議論の場で
その手腕を発揮していくでしょう。

一方、共和党の候補者ドナルド・トランプ氏は、
オバマ氏の政策を撤廃し、化石燃料資源の開発を加速する計画です。
彼は気候変動を含む様々な政策課題に対して何度も意見を変え、
既成政治家に不信感をもつ人々にアピールするために極端な言葉を使用してきました。
当選したとしても、いま語っている政策を実行することはないでしょう。
彼の気候政策がどのようなものになるのか全く予想がつきません。

現在の世論調査によると、
深刻な景気後退が起こらない限り、民主党が勝利すると予測されていますが
大きな差があるわけではありません。
トランプ氏はアメリカ市民の66%以上の間で非常に不評ですが、
クリントン氏は保守派の大多数に嫌われています。

米国の大統領は、世界で最も強力な人物の一人であり、
国内外に影響を与える権威を持ちますが、
政府の立法と司法によって制約されることを忘れてはなりません。
また、環境問題への関心が高まる自由市場社会において
政府の政策が社会の気候保護取り組みに逆行するべきではないのです。

筆者Frank Hiroshi Lingのプロフィール:
カリフォルニア大学バークレー校にて化学の修士号を取得。
IGES (地球環境研究機関)及び、茨城大学において多くの研究論文を出版し、
気候変動およびエネルギー開発の研究において豊富な経験を有する。

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