食品会社は家畜の福祉に配慮を! 運用総額1.5兆ポンドの投資家が要求

2016 / 7 / 7 | カテゴリー: | 執筆者:Yurie Sato 佐藤百合枝

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Photo by Romita Peña

世界で初めての畜産動物福祉に関する投資家宣言に
イギリスのAviva Asset Management、フランスのBNP Paribas Investment Partners、
オランダのRobecoなど
総額1.5兆ポンド(196兆円以上)を運用する18の機関投資家が署名しました。

この宣言は、畜産動物福祉が食品セクターの長期的な価値創出に関わる
重要な課題であるという観点から発表されたものです。
宣言に署名した投資家は
食品会社への投資判断の際に動物福祉への取り組みを考慮するとともに
企業に対して畜産動物の取り扱いに高レベルの基準を課すよう働きかけていきます。

取り組み推進にあたって使用が推奨されているのが
イギリスの動物愛護関連NGO3団体によって運営されている
「畜産動物福祉に関する企業のベンチマーク:
Business Benchmark on Farm Animal Welfare(BBFAW)」です。

2012年から世界の主要な食品関連企業対象に行われている調査で
2015年版は欧州、北米の90社が対象でした。

主な評価項目の概要と各分野のスコアの配分割合は以下の通り
●マネジメント層のコミットメント (34%)
・動物福祉取り組みに関するリスクと機会の特定
・動物福祉取り組みに対して中核となる原則・方針があるか、またそれがどのように事業全体で実施されているか
・クローンや畜産動物が閉鎖飼育環境、麻酔なしの屠殺、長距離輸送などに関する方針の有無

●ガバナンスとマネジメント (41%)
・方針実施における責任の所在
・サプライチェーンの取り組み、管理監督
・目標とその進捗管理方法
・進捗報告

●リーダーシップとイノベーション (15%)
・R&D投資
・業界団体やイニシアチブへの参加
・外部表彰、評価
・消費者の啓発

●成果報告 (10%)

これら項目をもとに6階層にわけて企業を評価しており
2015年に評価の高い上位3階層に入った企業は
第1階層:マークスアンドスペンサー、スイスのコープグループなど
第2階層:米国マクドナルド、ユニリーバなど
第3階層:ウォルマート、ネスレ、サブウェイなど

課題認識が見られないとされた第6階層には
バーガーキングやドミノピザなどが入っています。

BBFAWのプログラムディレクターは
「今回の投資家声明によって動物福祉がニッチな倫理の問題ではなく、
重要なビジネスリスク・機会であることが明らかになった」とコメントしています。

参考:動物福祉と動物愛護の違いについてはこちらから

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参照:
The Business Benchmark on Farm Animal Welfare 2015 Report
BBFAWプレスリリース 

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