2022年カタールW杯の注目はココ 世界の建設会社の人権取り組み

2016 / 6 / 21 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

construction workers on the promenade (2)
photo by Paul Keller

もうすぐリオ五輪ですね。

オリンピックと並ぶ国際的なスポーツ大会が、
FIFAサッカーワールドカップ。

2018年がロシア。その次が2022年にカタールで開催される予定です。

開催まであと6年あるカタールW杯への注目が、
いま高まっています。

その理由が、労働者の人権問題。

カタールは開催準備に向けた準備。
周辺国のアラブ首長国連邦ではドバイでの2020年国際博覧会など、
中東地域では建設ラッシュが続いています。

そこで働く建設労働者のほとんどが、
インドやフィリピンなどのアジア諸国やアフリカからの移民です。
そしてその多くが、厳しい労働環境におかれています。

給料の遅配・未払い
危険な労働環境
パスポートの取り上げ
労働組合の結成・参加ができない
労働搾取を訴える手続きにアクセスできない

建設労働者がおかれている状況については、
アムネスティ・インターナショナル日本の資料に詳しいです。

「メガスポーツイベントと人権」
http://crt-japan.jp/files%202015/2015SHE/amnestyjapan.pdf

そうした状況に対し、
建設会社がどのような取り組みをしているのか、
中東地域で事業を展開する世界100社を対象に
行われている調査の結果が発表されています。

Institute for Human Rights and Business(ビジネスと人権リソースセンター)
Migrant Workers in Gulf Construction

image

これまでに47社にコンタクトし、
何かしらの回答があったのは15社。

日本企業では大林組の名前がありますが、
「回答なし」となっています。

建設業での取り組みが進まない理由の1つに、
サプライチェーンの長さ・複雑さがあります。

しかしだからといって、
方針を策定して契約に盛り込めばそれでOK
ということにはなりません。
最低限のデューディリジェンスを行っていくことが求められます。

回答があった企業のなかで、好事例として紹介されていたのが
英国のレイン・オルーク(Laing O’Rourke)。

回答内容をこちらで見ることができます。
http://business-humanrights.org/en/laing-o%E2%80%99rourke-0

移民労働者の問題は中東の話、
ではありません。

日本では、「外国人研修・技能実習制度」の制度を利用して
中国やベトナムから来日した4万人以上の技能実習生が
農漁業や建設業などで働いていますが、
「労働搾取」「現代版女工哀史」であるとして度々批判の的となっています。

今後も移民労働者が増えていくことが確実ななか、
企業にはしっかりとデューディリジェンスを果たしていくことが求められます。

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