加速する投資撤退の動き 企業と政府の反応は?~エクソン・モービル株主総会とG7~

2016 / 5 / 31 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by James Ennis

2016年3月、ロックフェラー家基金が石油や石炭、
オイルサンドなどの化石燃料関連業界から
資産を引き上げると発表しました。

RFF’s Decision to Divest
http://www.rffund.org/divestment

気候変動COP21の前後で加速している化石燃料からの
ダイベストメント(投資撤退)の動きの一つです。
(関連記事:「化石燃料からの”ダイベストメント”とは?」)

現在保有している関連資産の額などは公表されていませんが、
化石燃料株を保有する根拠は「財務的に、倫理的にもない」として、
できるだけ速やかに撤退するとしています。

売却する株式の1つに、
石油メジャーのエクソン・モービルがあります。

同社は、ジョン・ロックフェラーが創設した
スタンダードオイル社を源流とする企業です。

ロックフェラー家は石油業により巨額の富を構築しました。

しかし、世論のミスリードや北極海での資源探索など、
ロックフェラー家基金はエクソン・モービルの気候変動の取り組み姿勢を批判しており、
すでに同じ系列のロックフェラー兄弟財団は
2014年に化石燃料からの投資撤退を発表しています。

背景には、倫理的な判断のほかに、
石油価格の下落により同社の株価が2014年より下がり続けているという
財務的な事実もあります。

広がるダイベストメントの動きに、
エクソン・モービルおよびその株主はどのように対応するのか。
5月末に開かれる株主総会の動向に注目が集まっていました。
なぜなら気候変動に関連して11もの株主提案が提出されていたからです。

しかし結果は以下の通り。
ExxonMobil Shareholders Vote to Ignore Climate Change Completely

・気候政策が自社に与える影響を分析する: 反対61.8%にて否決

・気温上昇を2℃未満に抑える政策の導入: 反対81%にて否決

・気候変動の専門家を取締役に迎える: 反対79%にて否決

唯一可決されたのが、特定条件を満たした株主が
取締役候補を株主総会に提案できるプロキシーアクセス制度の採用で、
これにより気候変動に積極的に取り組む取締役を
経営に送り込むことができるようになります。

化石燃料からのダイベストメントでは最近、
石炭火力に関連する報告書の翻訳のご相談を多くいただいています。

石炭火力推進に最も力を入れている日本が主導する
G7での議論の行方が注目されましたが、
残念ながら脱石炭の方針は示されませんでした。

気候変動・エネルギーに関するNGO共同声明
G7伊勢志摩サミット閉幕:気候変動・エネルギーに関するNGO共同声明 G7、人類の生存を脅かす気候変動に対処するリーダーシップを発揮できず

石炭火力の推進が2度目標の達成に寄与しないことは明らかになっており、
早急な公的支援の中止が望まれます。
(以下は制作をご支援したインフォグラフィックスです)

WWFジャパン「世界の「脱炭素化」への流れの中で、石炭への支援を続ける日本」より

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