必要なのは現金支給? 貧困層や難民支援の現場から

2016 / 5 / 7 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

Falling Cash
photo by OTA Photos

貧困層や難民支援と聞いて思い浮かぶのは
食糧や生活必需品などを支給している画でしょうか。

最近、異なる場所で、
そうした支援の形として現金を支給している、
という話を耳にしました。

1つはICTによる国際協力開発(ICT4D)をテーマにしたブログで
紹介されていたNGO。

ICT for Development.JP「貧困層への支援は現金支給がいい?

GiveDirectlyという団体で、
中間費用なくほぼすべてを援助に充てることができるとして、
直接支援対象者に携帯送金して現金を支給しています。

ベーシック・インカムの有効性を検証することも狙いとしており、
ケニアの貧困地域を選んでほぼ1年分の生活費に相当する1000米ドルを支給し、
資金は有効に使われたか、住民の生活がどう変化したかを計測。

実際に収入増や資産増といった効果が現れていて、
酒やたばこなどネガティブな浪費には使われなかったことが
数字として出ています。

(1年分をまとめて送るのは多すぎるんじゃないかという気がしますが、、、
感覚的なものに過ぎないのかもしれません)

もう1つは、先日UNHCRの担当者の方とお話した際に、
最近は支援の方法として現金を支給するケースがあるという
話を聞きました。

中央アフリカ共和国出身の難民が暮らすコンゴのキャンプで、現金支援が生活を変える

モノであれば一方的に支給して受け取って終わりですが、
お金であればその後どういう風に使うかを
主体的に決めることができます。

それが自尊心を育み、人々の自立を後押しすることにつながるそうです。

現金を支給するのはどうなの、
と思う方もいるかもしれません。

おそらく、お金は何かの対価としてもらうもの、
「働かざる者、食うべからず」という考えが気持ちの奥底にあるのではないかと思います。
(私もそう思う部分はあるので)

ただ、生まれた環境や理不尽な状況によって選択の余地なく困窮状態に追い込まれたのであれば、
無条件でお金が支給されることに反対するのも違和感があります。

生活に必要な資金がすべての個人に無条件で一律に支給される仕組みを
ベーシック・インカム」といい、
導入に私は賛成です。

反対意見として勤労意欲が減るということをよく耳にしますが、
労働の対価=報酬という考え方自体が崩れてきていますし、
適切な報酬自体がそもそも支払われていないという問題もあります。

他にも、

・現在、賃金の対象となっているのは一部の労働だけで
家事育児といった無償労働は評価されていない

・福祉政策もセーフティネットとして十分に機能しておらず、
現状の仕組みも労働意欲をそぐものになっている
(日本でいえば130万円の壁や低い最低賃金など)

・ロボット化が進み、労働力需要が減っていくことは確実

・仕事にはより創造性が求められ、それは労働以外の場から生まれてくる。
生活時間と労働時間の壁がなくなり、
生きていること自体が価値を生むようになると言える。
(ベーシック・インカムはそこへの対価という考え方もできる)

などなど、労働、税制、ジェンダー、所有、等々の問題が関わる、
実はとても深いテーマです。

こちらの本に詳しいです。

古くはマーチン・ルーサー・キング・ジュニアも、
近年ではミルトン・フリードマンも、ジョゼフ・E・スティグリッツも、緑の党も、
右も左もいろいろな人が同種のコンセプトを提案している
「ベーシック・インカム」。

日本でももっと議論されてよいはずです。

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