Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
欧州難民問題 世界の企業の対応は?
photo by Takver
すでに今年に入って60万人以上が地中海経由で
欧州に入ったとされるシリアをはじめとした国々からの
難民・移民の数は、現在も依然増え続けています。
こうした危機的な状況に対し、
欧州政府は混乱を抱えながらも対策の強化を進めています。
それでは、企業はどうでしょうか?
全体としての動きは鈍いながらも、
欧州企業を中心に支援に向けて動き始めています。
グローバル・コンパクトとUNHCRの呼びかけに対し、
公にコミットメントを発表しているのは10/27時点で13社・組織。
BayerやGlaxoSmithKline、Novartis、Novo Nordisk、
Sanofiなどの企業が名を連ねています。
Business & Human Rights Resource Centreには、
10/16日時点でAudiやAviva、Bosch、Daimler、E.ONなど
15社から声明が寄せられています。
主な支援の方法は、金銭や物資の寄付。
IKEA財団が3.5億スウェーデンクローナ、H&Mが50万ドルをUNHCRに寄付したほか、
Novartisは50万スイスフランと5万ユーロ相当の医薬品を赤十字に、
Bayerは今後5年をかけて難民の子どもたちの教育に
40万ユーロを寄付するなどの動きが見られます。
そのほかにも、企業には本業を通じた支援が期待されています。
FacebookやVodafoneは難民キャンプでWifiを提供。
SAPは移民登録を簡易に行えるアプリを開発し、
スカンジナビア航空は規定を変更して難民移送に協力しています。
雇用や就業支援につながる動きを見せる企業もいます。
Deutsche TelekomやBMWはスキルを持った難民に
インターンや就業トレーニングの機会を提供し、
ユニリーバは声明のなかで、
「多様性が成長をもたらすという観点からも、
難民に対する雇用機会を創出することが社会の負担を減らし、
経済へのプラスと統合につながる」としています。
難民問題に対する否定的な動きに対し、
自らのスタンスを明示する企業もいます。
ドイツのフェンス製造企業のMutanoxは、
難民の流入阻止に鉄条網が使われたことを受け、
ハンガリー政府からの購入要請を拒否したと語っています。
欧州企業を中心に事例をみてきましたが、
日本でもファーストリテイリングが
UNHCRと協力して行っている古着回収による難民支援を拡大し、
「1000万着のHELP」としてユニクロとGUで
着なくなった衣類の寄付を呼びかけています。
難民問題も、人権問題の1つです。
距離や政策の問題から遠い国のできごとと感じてしまいがちですが、
「人権」に対する意識を高めていきたいと考える企業の方は、
企業ができることをまとめたリストを見ながら
自社でどのような支援ができるかを
考える機会を一度もってみてはいかがでしょうか。
Illustrative Examples to Inspire Action
https://business.un.org/documents/business_action_pledge_refugee_crisis_illustrative_examples.pdf
Sustainability Frontline もっと学びたい方へ
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