英製薬大手グラクソ・スミスクライン 世界初のマラリアワクチンを非営利で普及へ

2015 / 8 / 9 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by CDC Global

7月24日、画期的な発表がなされました。

これまで有効とされるワクチンがなく、
長年研究が続けられていたマラリアワクチンについて
世界で初めて「効果がある」と認められたのです。

GSK’s malaria candidate vaccine, Mosquirix™ (RTS,S), receives positive opinion from European regulators
for the prevention of malaria in young children in sub-Saharan Africa

英製薬大手のグラクソ・スミスクラインと
マラリアワクチンの開発に取り組むNPOが共同で開発した
このMosquirix™というワクチン。

欧州医薬品庁から生後6週間〜17ヶ月の子どもに対して有効であるとの審査結果が出され、
現在WHOにて最終のレビューにかけられています。

世界人口の約半数が感染リスクにさらされているマラリア。
毎年、2億人以上が感染し、60万人以上が死亡。
そのうちほとんどはサハラ以南アフリカの子どもたちです。

日本にいるとあまりなじみがないかもしれませんが、
1930年頃までは日本でも存在しており、
戦時中は多くの兵隊が出征先でマラリアにかかり亡くなっています。

マラリアについて(厚生労働省FORTH)

ワクチンが最終的に承認されれば、殺虫剤処理された蚊帳や
殺虫剤スプレーなどとの併用で
マラリア予防に大きな効果が期待されます。

グラクソ・スミスクラインのマラリアへの取り組みの歴史
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もう1つ画期的なのは、このワクチンからは儲けないと同社が宣言している点です。

販売価格は、製造コストに
研究開発に再投資するために5%の利益を上乗せするのみ。

開発に至るまでに30年以上。
これまでに3.6億ドル以上を費やし、今後さらに
さらに2〜2.5億ドルを投資するとしていますが、
このワクチンそのものからの利益創出は見込まず、普及を優先させ
マラリアワクチン分野における地位確立を目指します。

実は私も、マラリアに感染し、死にかけた経験があります。
ソロモン諸島で感染し、潜伏期間の後ホンジュラスで発症。
現地のICUに3週間以上入っていました。。。助かったのは若さと運です。

今回のニュースを聞いて素直に嬉しく、
一刻も早く承認がなされ、普及がはじまることを願います。

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