Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
拡大が加速する金融包摂
2015年4月に世界銀行の
「金融包摂(ファイナンシャルインクルージョン)」
に関する報告書”The Global Findex Database 2014″が公開されました。
「金融包摂」は、金融システムへのアクセスを持たない人や企業に、
金融サービスを提供しようとする取り組みです。
世銀では、貧困をなくすために「金融包摂」が不可欠であるとして
2013年に、
2020年までに就労年齢のすべての成人に金融アクセスを提供する
という野心的な目標を発表し、
今回、銀行口座の普及状況をもとに金融包摂の進捗を発表しました。
本報告書によると、2014年時点で
世界の成人人口の約20億人が銀行口座を持っていません。
特に途上国の所得の下位40%に属する世帯では
その数は半数以上に上ります。
また、貧困層と呼ばれる人々が
信頼できる正規の金融機関で預金や借入ができることは
彼らが貧困の悪循環から抜け出し
安定した生活を得ることに役立つとしています。
私がフィリピンの農村に住んでいたときに学んだのは、
たとえば、農民が干ばつなどで収入が得られないとき
生活費や教育費を調達するには、知人に借金をするか
高利貸しに頼るしかありません。(家族の病気などの緊急時も同様)
農民が集まって農業組合としてローンの仕組みをつくる人たちもいましたが、
管理担当者がお金に困って組合のお金を盗んでしまったり、
メンバー全員が十分な金融リテラシー*を持つわけではないので
十分に機能しないことが多いと聞きました。
*金融リテラシー:金融に関する健全な意思決定を行うための意識や知識
貧困層が銀行口座を持たない主な理由としては、
口座の開設にかかる費用や手続き、銀行までの距離が挙げられます。(報告書P.3)
また、世界の携帯の契約数は70億を超えており、
その3/4は途上国で(ITU調べ)あることから
携帯電話の機能など技術の活用は近年特に注目されています。
2011~2014年の間に新しく口座を開設した人の数は7億人に上っており
携帯電話の活用や金融サービスのデジタル化が大きな役割を果たしています。(世界銀行 The little data book on Financial Inclusion P.26)
世界レベルでとられているアクションの例としては、
G20でも金融包括に向けた具体的な10の行動計画が発表されており
その中で掲げられているのが
革新的な技術活用と金融リテラシーの提供です。
次回のブログでは、この2つの分野で金融包摂に取り組む
企業活動の事例をご紹介します。
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