「ホンダ センシング」から考える交通安全とCSR

2015 / 4 / 25 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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創業者の本田宗一郎氏の夢であり、
3月末に飛行映像が公開されたホンダジェットが話題を呼んでいます。
世界で初めて機体とエンジンの両方を手がけ、
約50年ぶりの本格的な新規事業参入となります。

他にも、注目を集めているHondaの技術があります。
それが2014年10月に発表された安全運転支援システム
Honda SENSING(ホンダ センシング)」です。

ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせにより、
車体の周辺と遠くの状況を同時に把握。
誤発進抑制や車線維持システムのほか、
電波の反射率が低いため通常は検知が難しい
歩行者も把握できる点が特徴です。

スバルのEyeSight(アイサイト)により急速に広まった
自動ブレーキなどの安全運転支援技術は、
今や標準搭載の機能となりつつあります。

こうした動きを、CSRの観点で捉えるとどのようなことが言えるでしょうか。
ここでは2つの視点について考えてみたいと思います。

1つは、これまでなかった技術の普及による、
安全に対する「期待値」の変化です。

安全運転支援システムが普及したことで、
自動車が提供する安全に対して、生活者に
「ここまでしてくれる」というこれまでとは異なる認知が生まれました。

今後は、自動運転などさらなる自動化技術の発展に伴い、
これまでとは一段違うレベルの「安全」に対する期待が
生まれることは確実です。
ステークホルダーが期待する「安全」をしっかりと理解し、
応えていくことが求められます。

もう1つの視点は、発展度合いにより異なる交通状況に対し、
地域別に対策を行っていくことの重要性です。

こうした安全運転支援技術は、
先進国での話であり、途上国では状況が全く異なります。

途上国に行くと、危ないことはスリや麻薬など色々あるけど、
一番は交通事故、とよくアドバイスされます。
実際に行かれたことがある方は分かると思いますが、
都市ドライバーの交通マナーは日本とは比べ物にならず、
農村地域ではバイク4人乗りも当たり前です。

以前、中国で自動車部品メーカーのダイアログを行った際にも、
交通安全は重要なテーマの1つでした。

損保ジャパン日本興亜は、2012年に発行された
道路交通安全マネジメントシステム「ISO39001」を
世界で初めて取得するほか、NGOセーブ・ザ・チルドレンと連携して
インドネシアで子どもたちに交通安全教育プログラムを実施しています。

「安全」に対してCSRの観点からどのように向き合っていくか。
交通に限らず、今後ますます社会の期待が
高まっていくことが想定されるテーマです。

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