ユニクロの中国サプライヤー工場の人権問題を考える

2015 / 2 / 6 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa


photo by Taichiro Ueki

「UNIQLO労働者に尊厳を!搾取工場にNO!」と書かれ
掲げられる横断幕。

日本企業の中国サプライヤー工場における労働問題がここまで
国内で話題になったのは、初めてのことではないでしょうか。

今年1月11日。
香港を拠点とするNGO SACOMと、
日本のNGO ヒューマンライツ・ナウにより、、
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの
中国取引先工場での労働状況に関する調査報告が発表されました。

中国の縫製/織物工場における労働者の権利を確保するための早急な行動を
ブランドとサプライヤーに求める

両団体は工場2社への2ヶ月間の潜入調査と聞き取りを実施。
労働時間や作業環境、管理実態に関して調査が行われ、
長時間労働や低い基本給、
高温の作業所や有害化学物質による健康リスク、
罰金制度を伴う管理システムや
機能していない労働組合といった問題を指摘しました。

そうしたNGO側の指摘に対し、
ファーストリテイリングも動きます。
報告書発表後すぐ、事実関係が一部確認されたとし、
改善を約束する声明を発表しました。

中国のユニクロ取引先工場における労働環境の改善に向けた弊社行動計画について

両NGOとファーストリテイリングとの会談の場ももたれ、
その内容はこちらで確認することができます。

今回の事件、これまでの経緯から、多くの示唆が得られます。

●人権問題への注目度のこれまでにない高まり
YahooニュースのHRN事務局長の伊藤さんの記事は1.1万回以上シェアされ、
250万以上のアクセスがあったそうです。
柳井社長のコメントもテレビで放映されています。

●サプライヤー監査の難しさ
CSRレポートにも取り上げられるなど
比較的しっかりとやっていたはずの工場で起きてしまった今回の問題。
二重記録に監査の重複、出稼ぎ労働者の稼ぎたいという意思、
他工場との競争環境など、難しい理由は色々ありますが、
モニタリングがどうして十分に機能しなかったのかの
徹底した検証が求められます。

●人権NGOの役割の重要性
潜入調査を通じて実態を把握し、声なき声を社会に伝える人権NGO。
欧米に比べ日本ではまだ十分に社会に認知されているとは言えませんが、
人権NGOが果たす役割の重要性が再確認されました。

●ファーストリテイリング側の迅速な対応
ここまでのスピード感を持って企業側が対応したのは、
問題を深刻に捉えている証といえます。
労働環境の改善については今後の進捗を
しっかりと確認していく必要がありますが、
解決に向けたオープンな姿勢は評価されるべきと思います。

●ビジネスモデルそのものへの疑義
今回取り上げられたのは2社の工場の問題ですが、
事の本質はファストファッションという業態に内在しており、
「安さ」のしわ寄せが労働者にきている結果ではないかという点です。
ビジネスモデルそのものが問われているともいえるかもしれません。

ファーストリテイリングが提示した改善策の1つに、
工場における従業員代表者の民主的な選出と団体交渉権行使の支援があります。

近年労働争議が頻発し、まさに過渡期にあるといえる中国の労働問題。
今度2月20日に中国の労働組合と労働NGOの動向に関する
報告会が開催されますので、関心のある方は是非行かれてみてはいかがでしょう。

明治大学招聘研究者講演会「中国における労働問題の現在~官製労働組合と労働NGOの動向を中心に~」
http://www.meiji.ac.jp/cip/info/2014/20150220_of_copy6t5h7p00000hwqrd.html

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