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シェル ナイジェリア原油流出で100億円の支払いに合意
photo by Microwave Chef
国際石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルは、
2008年にナイジェリアで発生した石油流出事故に関し、
住民とコミュニティに5500万ポンド(約100億円)を
支払うことで和解に合意しました。
Royal Dutch Shell agrees £55m Nigeria oil spill settlement
http://www.ft.com/cms/s/0/06463b86-95c1-11e4-a390-00144feabdc0.html#axzz3OmVRuQiY
これはナイジェリアのニジェールデルタ地帯の
ボドで発生した2回の原油流出事故を巡り、
2011年より住民側と裁判で争っていたもの。
流出した原油は50万バレルに及び、
60万haのマングローブ林が汚染され、
35の村に住む45000人を越える人々が影響を受けています。
多くが生業としていた漁業は壊滅状態となり、
飲料水の汚染も深刻です。
今回、シェルは操業に過失があったことを認め、
住民15600人に一人あたり平均2000ポンド、
残りをコミュニティに支払うことを了承しました。
ボドのあるオゴニランドは、長年にわたり
広範囲に原油流出による汚染が起きている地域です。
UNEPが2011年に発表した報告書によると、
修復までには30年以上が必要としています。
同地域で長年にわたり操業をしていた
シェルの責任が問われていますが、
同じ2008年にメキシコ湾で起きた流出事故に対する
対応との温度差が問題視されています。
同社は今回認めた内容以外の流出については、
主な原因は違法なパイプラインからの抜き取りにあるとしています。
The UNEP Environmental Assessment of Ogoniland – Our Response
http://www.shell.com.ng/environment-society/our-response.html
同種の問題では、エクアドルで起きている
シェブロンと先住民との争いがあります。
こちらは2011年にエクアドル裁判所がシェブロンに補償の支払いを命じましたが、
同社が拒否・控訴したことにより、裁判は米国やカナダ、ブラジルに広がり、
2014年11月には原告が国際司法裁判所(ICC)に提訴しています。
今回の和解を機に、少しでも状況が改善していくことを願います。