生物多様性をめぐる議論の最新動向 愛知ターゲットとSDGs

2014 / 12 / 3 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa


photo by Dan McKay

以前エコネットワークスでは、
生物多様性に関する地球規模での状況を評価した
地球規模生物多様性概況第3版(GBO3)の和訳を
担当しました。

現在また、国際的な生物多様性に関する文書の翻訳を担当する機会があり、
最新状況について理解を深めようとグリーンエコノミーフォーラム主催の
セミナーに参加してきました。

「COP12・地球規模生物多様性概況・愛知ターゲットとSDGs/ポスト2015開発アジェンダ~SDGsの在り方・生物多様性に関する各セクターの取組みを考える~」
http://geforum.net/archives/648

生物多様性条約COP12での主要議題や、
2015年以降の国際的な開発目標である
持続可能な開発目標SDGsと生物多様性との関係性などが
セミナーの主なテーマです。

先日発行された地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)で
中間評価がなされているように、
愛知ターゲットで示された20の目標の達成状況は
楽観視できる状態ではないのですが、

●生物多様性の話が自然保護・野生動物保護の話だけでなく、
持続可能な利用の観点から、貧困や開発と結びついた
議論が積極的に展開されていること

●生態系サービスの評価・数値化の精緻化が
少しずつ進んでおり、2018年に生態系サービスに関する
国際的な評価レポートがIPBESから発表されること

●企業の自然資本の情報開示の標準化の動き(CDPやNCC)が
今後数年で急速に進んでいくであろうこと

など、最前線の動向を知ることができました。

生物多様性に関する枠組みは、
気候変動の規制や拘束性を重視した枠組みとは異なり、
より各セクターの主体性を重視し、どのように
動機付けをさせていくかという観点が中心です。

良い面、難しい面の両面がもちろんあるのですが、
2015年9月の発表に向けて議論が進められている
SDGsの目標設定にも大きく影響を与えていくことが考えられます。

引き続き最新状況に注目したい分野です。

※2014年7月に出たオープン・ワーキング・グループ成果文書の仮訳が
IGESから出ています。改めて目を通してみたのですが、
かなり包括的な議論がなされています。まだの方は一読をお勧めします。

「持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループの提案についての序論」
http://www.csonj.org/mdgsnews/owg-sdgs-japanese-translation

※この分野は言語面でも新しい用語がどんどん出てきています。
“biodiverse”という用語も、一見聞きなれているような気がしますが、
最近まで辞書になかった言葉です。
サステナビリティ翻訳HACKS:biodiverse = 「生物多様性豊かな」

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