Sustainability Frontline
よく老い、高齢者が生きやすい社会へ
photo by Tony Hall
国際的な医学雑誌Lancetで新たに
「健康と高齢化」に関するシリーズがスタートしたことに関連し、
WHOより「よく老いる」ことの重要性を訴えるリリースが発表されました。
“Ageing well” must be a global priority
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2014/lancet-ageing-series/en/
2020年には、歴史上で初めて、
60歳以上の割合が5歳以下の子どもの割合を上回るそうです。
また60歳以上の割合は、現在の8.4億人から
2050年には2.5倍の20億人に達します。
喫煙や高血圧対策などの循環器・心疾患の予防・治療によって、
主に先進国で人々の寿命は伸びてきました。
しかし、寿命が延びる=人々が健康でいられる、
というわけでは必ずしもありません。
またそれは社会とっても、
高齢化に伴い長期・慢性的な病気が増えるということで、
医療費をはじめ社会的な負担が増えていことが確実です。
WHOはリリースの中で、
個人にとっても、社会にとっても、
健康に年をとる(Ageing healthily)ことができる
社会システムを構築していくことの重要性を訴えています。
「よく老いる」ことの重要性に加えて、
「高齢者が生きやすい」社会であることも重要です。
高齢者の人権問題に取り組む国際NGO
HelpAge Internationalが10月1日の世界高齢者デーに、
高齢者の住みやすさランキングを発表しました。
世界の96ヵ国・地域を対象に、
・収入:年金、福利、GDP、貧困率
・健康:60歳での平均余命、健康寿命と心理状態
・能力:雇用状態、教育レベル
・生活環境:安全、社会的なつながり、市民の自由、公共交通機関へのアクセス
の4つの観点でランク付けをしたものです。
トップはノルウェー。
以下、スウェーデン、スイス、カナダ、ドイツと続き、
8位の米国に続いて日本は9位です。
日本は寿命の長さから「健康」部門でトップでしたが、
貧困率など「収入」では31位、生活の快適さを示す「生活環境」では21位でした。
よく老い、高齢者が生きやすい社会とはどんな社会か。
誰もがいつかは直面する問題として、考えていきたいテーマです。