Sustainability Frontline
干ばつで苦しむカリフォルニアがオーストラリアから学べること
photo by Don DeBold
カリフォルニア州では干ばつによってサクラメント川の水位が低下。
サケが川を下れないため、トラックで3000万匹の稚魚を搬送して
海に放流をしました。
カリフォルニア州は現在、過去最悪の干ばつに見舞われています。
3月中旬、長年にわたって干ばつに苦しんできた
オーストラリアにおける取り組みから学ぼうと、
Circle of Blueが豪・米の水専門家をつないでオンラインセッションを開催しました。
‘Transformational’ Water Reforms, Though Wrenching, Helped Australia Endure Historic Drought, Experts Say
http://www.circleofblue.org/waternews/2014/world/transformational-water-reforms-though-wrenching-helped-australia-endure-historic-drought-experts-say/
Circle of Blueは
世界経済フォーラムの水保障検討チームに所属するメンバーをはじめ、
ジャーナリストや写真家、研究者によって
世界の資源危機に対して警鐘をならすことを目的に設立された団体で、
特に水問題に重点をおいて活動しています。
オーストラリアでは2009年までの8年間、
長期にわたる干ばつに苦しんできました。
中でも、主要な産業であり、
全国の水使用量の3分の2を占める
農業における対策が重要な課題でした。
オーストラリアでは80年代より、
水不足に対して利用の効率化を図るため、
水利権を取引できる水取引制度が設けられていました。
しかし従来水利権は土地の所有権とセットで付与されていたため、
あまり柔軟性のある形で運用がなされていないという問題がありました。
そこで土地所有権と水利権を切り離し、
水の使用に際して市場原理が適切に機能し
水の有効利用を最大化されるようするシステムを見直しました。
同時に100億ドルを灌漑設備の改善に投資。
結果として、干ばつが最悪レベルを記録し
農業で利用できる水の最大量が1/3になった年でも、
収穫量は70%を維持することができました。
また都市では、節水教育と料金の値上げにより、
水使用量を35~50%削減できたそうです。
一方で100億ドルを投資して建設した6機の
海水淡水化プラントは、現在稼働しているのは2機のみ。
高価な設備に頼るのではなく、
まずは安価で有効な代替手段に取り組むべきという教訓です。
カリフォルニアでも、新たな地下水規制や
水管理計画への数十億ドルの投資など、
新たな対策への動きが見られており、
干ばつに強い水管理システムを構築できるかが問われています。
今回のオンラインセッションには、世界から400人が参加したそうです。
国境を越えたベストプラクティスの共有が簡単にできるようになった時代。
バーチャルでやっている私たちエコネットワークスも、
普段のノウハウを生かして貢献できることがあるのではないかと思っています。