【G4を読む】Grievance Mechanism

2013 / 10 / 8 | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

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photo by Martin Rødvand

G4を読み解くキーワード。
今回は「Grievance Mechanism」を取り上げます。

「苦情申し立ての仕組み」「苦情処理メカニズム」と訳されたりするこの言葉。

前版のGRI3.1では人権の項目でのみ(HR11)、登場していました。

それが今回のG4では、人権だけでなく、
環境、労働、社会と合計4回も登場します。

Environmental Grievance Mechanisms (G4-EN34)
Labor Practices Grievance Mechanisms(G4-LA16)
Human Rights Grievance Mechanisms(G4-HR12)
Grievance Mechanisms for Impacts on Society(G4-SO11)

具体的には、

G4-EN34
NUMBER OF GRIEVANCES ABOUT ENVIRONMENTAL IMPACTS FILED, ADDRESSED, AND RESOLVED THROUGH FORMAL GRIEVANCE MECHANISMS

とあるように、申し立て・対処・解決済みの
それぞれの件数を実際に報告するよう求めています。

分野ごとにそれぞれ、以下のような申し立ての内容が想定されます。

人権・・・差別、強制労働など
環境・・・排出、汚染など
労働・・・雇用、労働安全、賃金など
社会・・・地域社会への影響、汚職など

Grievance Mechanismへの注目が
高まっている背景に、2011年4月に発表された
「国連ビジネスと人権に関する指導原則(通称ラギー・フレームワーク)」があります。

日本語訳
http://www.hurights.or.jp/japan/aside/ruggie-framework/

ここでは人権侵害に対する「救済」へのアクセスとして、
組織に苦情処理メカニズムの導入を要求しています。

しかしG4が求めている、特に人権などのテーマに関する
苦情処理システムの運用件数の報告は、
一般的に企業にとってはかなりのハードルです。

日本企業ではほとんどそうした事例は見られませんし、
海外企業でもまだ限定的です。

たとえばネスレでは、人権に関する処理数として

・合計 173件(男性38人、女性35人、不明100人
・内解決した件数 143件(男性32人、女性24人、不明87人)

といった数値を開示しています。
http://www.nestle.com/csv/human-rights-compliance/human-rights

またCoca-Colaでは、

・2011年は426件(2010年は118件)
・内訳は、
 -報復・嫌がらせ・差別 211件(50%)
 -労働時間・賃金 114件(27%)
 -職場の安全 36件(11%)
 -職場の安全衛生 43件(9%)
 -強制労働 3件(1%)
 -結社と団体交渉の自由 2件(1%)

と内訳まで報告しています。
http://www.coca-colacompany.com/sustainabilityreport/we/human-and-workplace-rights.html#section-more-guidance-for-our-managers

Grievance Mechanismが機能しているということは、
ステークホルダーの広義の期待や関心を把握する
早期の警告システムが働いているということで、
適切に対応することで、潜在的な危機の拡大を防ぐことにつながります。

日本企業は、商品やサービスに対する顧客のクレームを
適切に把握し、改善につなげることを得意としてきました。

現在の社会では、人権や環境などそうしたモノ以外の側面の
苦情・申し立てがビジネスに大きな影響を与えます。

そうした認識の下、苦情・申し立てを受け付け、
解決する仕組みを持ち、それが適切に機能していることを、
説明責任として開示していくことが期待されています。

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