Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
2つの報告書が示す持続可能な都市に向けた道筋
現在、すでに世界の人口の半分は都市に住むとされ、
今後もこの都市への人口集中の流れは加速していくと見られています。
先月、都市の持続可能性を考える上で参考になる
2つの報告書が発表されました。
1つはIEA(国際エネルギー機関)によるものです。
2050年までに都市交通によるエネルギー消費は
現在の2倍になると予測されるなか、
交通システムの改善により、
安全性や人々の生活の質向上、環境負荷削減に加えて、
70兆ドルのコスト削減が可能と試算しています。
IEA shows benefits of improved energy efficiency of urban transport systems
http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2013/july/name,39543,en.html
報告書 ”A Tale of Renewed Cities”
世界30都市の事例から、エネルギー効率を改善するための目標設定や、
都市計画の策定、資金調達、実行、評価に必要な取組みをまとめています。
たとえば韓国ソウルではバスの運行サービス改善により、
走行スピードや乗客数、安全性の全てが向上しました。
またセルビアのベオグラードでは、市内の鉄道システム改善により、
6ヶ月で乗客数が3倍に増加しています。
もう1つは環境情報の開示に取り組む
CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)によるもので、
世界の大都市の気候変動への対応についてまとめられています。
Wealthier, healthier cities emerge from climate change initiatives
報告書“Wealthier, Healthier Cities”
世界の110都市を調査したところ、
炭素排出量の削減策により、
人々はより健康的な暮らしを得られており、
最大で年間1300万ドルの省エネになっている市もあるとしています。
エネルギー効率改善により、
気候変動対応とエネルギーコスト上昇の両方に対処することで、
今回報告された9都市で合計4000万ドルのコスト削減につながったそうです
またエネルギー効率改善施策の62%は投資を呼び込む可能性があり、
実際に英国のグレイターマンチェスター州では、
長い不況にも関わらず環境配慮型製品部門は4%成長しています。
先日も、ジャカルタから北九州市に下水道について学ぶために
研修に来ていた自治体の方とお話する機会がありましたが、
都市同士のネットワークやノウハウ共有の重要性はますます高まっていきます。