Sustainability Frontline サステナビリティをカタチに
【G4を読み解くキーワード】日本企業 ディーセント・ワークとどう向き合う?
Photo by Philosophy Football
Decent work(ディーセント・ワーク)という言葉を聞いて、
その意味や何を指すかを具体的にイメージできる方は
どのくらいいるでしょうか。
G4にも出てくるこの言葉。
非常にわかりにくいコンセプトです。
ILOのディーセント・ワークの説明映像を見ると、
なんとなくその意図するところがわかるかと思います。
http://www.ilo.org/public/english/dw/ilo-dw-japanese-web.swf
(すごく特徴的な画です。。。!)
翻訳ブログでは、言葉の観点からの理解を試みていますが、
ここでは企業がどのようにこのコンセプトに向き合っていけばよいのかについて
考えてみたいと思います。
ディーセント・ワークは、99年に登場し、
現在はILOの21世紀の目標として位置づけられ、
その実現に向けた取組みが進められています。
ILOによるディーセント・ワークのより詳しい説明
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/dc1.pdf
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/dc2.pdf
各国はディーセント・ワーク国家計画を策定して
推進していくことになっています。
計画の策定状況をこちらでみることができますが、
名前が上がっているのはほとんどが途上国。
確かに最近のILOのリリースなどを見ても
貧困や児童労働、若年失業者、家事労働者などの文脈で
語られることが多く、日本とは距離のある言葉のようにも思えます。
しかしこのコンセプトが包含するテーマは、
失業、社会保障、労働者としての権利、男女平等、病気・障がい、
移民、若者など、多岐に渡ります。
最近の日本の文脈に照らせば、
非正規雇用。過労死。ブラック企業。
女性の社会進出。高齢者雇用。メンタルヘルス。外国人労働者など。
決して遠い話、新しい話ではありません。
さらには、ILOは持続可能な開発の両輪として、
環境の持続可能性とディーセント・ワークの両方を
実現する必要があるとしており、
サステナビリティを語る上で企業としては
無視できないコンセプトです。
No sustainable development without environmental sustainability and decent work
http://www.ilo.org/ilc/ILCSessions/102/media-centre/news/WCMS_216400/lang–en/index.htm
ただ、企業としてなかなか正面からは
ディーセント・ワークという言葉を扱いにくいかもしれません。
確かにCSRレポートなどでもほとんど登場しないのですが、
たとえば韓国のLGは、マテリアリティレポートでDecent workのページを設け、
労使関係や労働時間、苦情処理や監査の仕組みを
この項目の中で報告しています。
そもそも日本は労働分野に関しては世界的にも遅れている国と見なされています。
批准しているILOの条約・勧告は全体の4分の1程度で、
労働時間や差別待遇などの条約は批准していません。
ディーセント・ワークは現在進行形のコンセプトで、
実現に向けてこれから実態をつくっていく段階ではありますが、
今後もますます注目が高まっていくことは確実で、
グローバルに展開する企業は今後、
ディーセント・ワークへの考え方が厳しく問われてくると考えられます。
世界の潮流に対する視点と、日本に対して注がれている視点。
両方の観点を踏まえて、
ディーセント・ワークへの考え方と取組みを
整備していくことが求められています。