株主の長期関与を奨励 コーポレート・ガバナンス改善に向けたEUの動き

2013 / 2 / 8 | カテゴリー: | 執筆者:野澤 健 Takeshi Nozawa

企業の持続可能性を考える上で、
株主とどう向き合っていくかは、
重要なポイントになってきます。

先月、欧州委員会は、
会社法とコーポレート・ガバナンスの改善を
目指す計画を発表しました。

Commission plans to modernise European company law and corporate governance
http://ec.europa.eu/enterprise/newsroom/cf/itemdetail.cfm?item_id=6353&lang=en&title=Commission-plans-to-modernise-European-company-law-and-corporate-gover%C2%ADnance

株主の権利と責任を明確化し、
欧州企業の透明性を高め、
競争力や持続可能性の向上につなげることが目的です。

2011年に欧州企業のコーポレート・ガバナンスに関する報告書
Green Paper: The EU corporate governance framework”を発表。
その後オンラインで意見を募集し、検討を重ね、
今回3つの要素から成る行動計画を打ち出しました。

具体的には、

1.コーポレート・ガバナンス改善のための
企業と株主間の透明性強化。

役員の多様性やリスク管理方針について
企業の透明性を高めることや、
機関投資家の議決権やエンゲージメント方針に
関する透明性の強化。

2.株主の長期的な関与の奨励

報酬方針や役員の個別報酬に関する透明性向上や、
企業と役員、企業と支配株主など、
関係者間のやりとりに関する株主監視の強化。

3.欧州企業の成長や競争力強化を促進する、
会社法における取り組み。

国境を越えた合併の促進や、
企業所在地の国境を越えた移転の可能性についての
さらなる調査。

などが挙げられており、
株主にこれまで以上の権利を与えるとともに、
企業の長期的な成長に貢献する責任を果たすよう
求めています。

「短期」から「長期」視点へ。

ネスレが四半期決算が求められるパリとロンドンでの上場を廃止し、
年次決算だけでよいスイス証券取引所にのみ上場したように、
世界的な統合報告の流れの中で、
企業が「株主を選ぶ」時代に来ています。

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