Sustainability Frontline
ネスレのチョコレートが児童労働で作られている、のニュース裏側を見てみると
「ネスレのチョコレートが児童労働によって作られている
(Nestle chocolate is produced from child labor)」
こんなニュースのヘッドラインを目にし、
気になって背景を調べてみました。
というのも以前、ネスレがカカオ豆の持続可能な調達を目指す
NESTLÉ COCOA PLANの一環として、
グローバル食品企業で初めて、
人権・労働問題に取り組む米国NGO Fair Labor Association(FLA)と
パートナーシップを結び児童労働に取り組んでいく、
というニュースを耳にしていたからです。
よくよく調べてみると、
グローバル企業がNGOに批判されている、
という単純なものではありませんでした。
同社がFLAにサプライヤー監査を依頼し、
問題点が多数見つかったので、ネスレはアクションプランを発表し、
今後協力して取り組んでいく、という一連の動きのようです。
ネスレが児童労働に対する取り組みを強化、
としてCNNでもその様子が取り上げられています。
FLAがネスレのカカオの主な調達地であるコートジボワールを訪問。
30のカカオ協働組合、87の農場、460人以上のインタビューを行った結果、
同社のこれまでの取り組みにも関わらず、長時間労働や安全違反など
サプライヤー基準に対する違反が多数見つかり、依然
児童労働が存在している実態を明らかにしました。
FLAはネスレに対して11の勧告を行い、
同社はそれらを踏まえたアクションプランを発表。
政府や地元コミュニティと協力し、
農家の教育や児童労働問題の改善に数年かけて取り組んでいき、
FLAが経過をモニタリングしていきます。
ネスレは、今回の監査により、これまで把握しきれていなかった
サプライチェーンの実態と問題点が明らかにされ、
取り組むべき課題が明確になったとしています。
不安定な国の情勢など、児童労働問題の背景には複雑な要因があり、
1社だけでは解決できない問題ですが、
ネスレは同国で生産されるカカオの10%を購入する一大バイヤーであり、
影響力を活かして変革のリーダーシップを取っていくことが期待されています。
具体的なアクションはこれからですが、
ステークホルダーと協力して課題解決に取り組んでいく、
ステークホルダー・エンゲージメントの好事例といえます。