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ガバナンスの強化が女性活躍につながる?
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投資家によるコーポレート・ガバナンスの強化が
女性活躍につながっているのか。
という興味深い研究があったので、ご紹介します。
「コーポレート・ガバナンスと女性の活躍」
河口章、西谷公孝
http://www.jcer.or.jp/academic_journal/jer/detail4210.html
高度成長期の終身雇用制度では、
従業員に安定的・長期的な雇用を提供するかわりに、
企業の都合に応じた残業や出張、転勤といった
働き方を要求してきました。
結果、家事負担の大きい女性労働者は、
このような要求に応えられないため、
必然的に中核から排除されていきます。
1990年と2008年を比較すると、
金融機関持株比率 45.2%→26.6%へと低下
外国人持株比率は4.2%→22.1%へと上昇
と、機関投資家の影響力が大きくなったことにより、
日本的なガバナンスが変化を余儀なくされ、
雇用制度も変化することで、
女性労働者に活躍機会の増加につながったといえるのか。
上記のような観点から、以下の仮説について検証をしています。
仮説1)
投資家によるガバナンスの強化によって、
正社員の雇用の短期化が女性の活躍を推進する。
企業は正社員の採用や解雇をより頻繁に行うようになり、
長期雇用が維持できなくなるため、
離職確率が相対的に高いという理由で
主要な業務から排除されていたた女性にも
活躍の機会が増えるのではないか、という仮説です。
こちらは機関投資家によるガバナンスの結果、
長期雇用制度に負の影響を与えていることは確認されましたが、
雇用の短期化と女性活躍の相関関係はあまり強くありませんでした。
仮説2)
投資家によるガバナンスの強化によって、
ワーク・ライフ・バランス(WLB)施策や
ポジティブ・アクション(PA)施策が実施され、
女性の活躍が推進される。
経営の効率化の一環として取り組むWLBやPA施策によって、
女性の活躍を妨げている職場慣行が取り除かれ、
女性労働力の有効活用が推進されるという仮説。
こちらの仮説は強く支持される結果となりました。
一方で、ガバナンスの強化による影響として、
非正規労働者の増加という問題もあり、
女性の非正規労働者は50%を超えています。
機関投資家によるガバナンスの強化による
正と負の影響について、見極めていく必要があります。
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