コロナ禍でも、現場の声を大切に ~ワールド・ビジョン・ジャパンの支援体制~

2020 / 12 / 15 | 執筆者:mihosoga

エコネットワークス(ENW)は、ワールド・ビジョン・ジャパン(WV)のチャイルド・スポンサーシップを通して、アフリカで暮らす子どもたちの支援をしています。2020年11月6日、WVのオンラインセミナーに参加し、コロナ禍のアフリカの支援現場の様子をお聞きしてきました。


執筆:曽我 美穂
富山県在住のエコライター、エディター。


●手紙のやりとりで、アフリカが身近に

© ワールド・ビジョン・ジャパン
ウガンダの子どもたち。

ENWでは、毎年お仕事パートナーに候補を募ったうえで、寄付先を選定しています。WVは2017年に候補に挙がり、現在までサポートを続けています。

世界の子どもを支援する国際NGOのWVは、1950年に設立され、チャイルド・スポンサーシップを続けてきました。チャイルド・スポンサーシップとは、個人や団体が、社会基盤や経済が不安定な国に住む子どもやその家族、地域を支援する仕組みです。支援地域の子どもに直接お金を渡すのではなく、子どもたちを取り巻く環境の改善につながる長期的な活動に支援金を使い、多くの子どもたち、そのまわりの大人たちの生活を変えています。

チャイルド・スポンサーシップでは、支援地域で選ばれた「チャイルド」と、様々な形で交流できるのが大きな特徴です。私たちも手紙のやりとりを通じ、心の距離を縮めてきました。そのため、支援先はコロナ禍で今どんな状況にあるのか、ENWのメンバーから心配の声があがっていました。

そんな中、WVから11月6日の夜に「オンラインWVカフェ:ウガンダ活動報告~コロナ禍のチャイルド・スポンサーシップ」というイベントのお知らせをいただきました。現地の様子が分かるまたとないチャンスだと感じ、ENWを代表して参加しました。

●貧困に苦しむウガンダの農村地域で、人々のニーズに合った支援を展開

今回のイベントのテーマは、WVのウガンダでの活動と新型コロナウイルスの影響の報告です。2011年にWVに入団し、世界各地の現場で活動してきた望月 亮一郎さんが登壇し、現地の写真と共に、支援先のウガンダ・キルヤンガ地区の様子を伝えてくださいました。

ウガンダは、東アフリカにある人口4400万人の国です。1人当たりのGDPは776ドルですが、これは日本の約50分の1です。首都のカンパラは高層ビルが立ち並び、急速に発展していますが、キルヤンガ地区のような地方の農村では道路も舗装されておらず、貧困に苦しむ人々が多く、都市と農村の格差が社会問題になっています。

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農村の様子。人々は、土壁と藁の屋根の簡素な家に住んでいます。

WVは、キルヤンガ地区で地域開発プログラムを立ち上げ、農業技術研修やソーシャルワーカーの研修、貯蓄グループの支援などの生計向上、識字教室や就学前教育の実施などの教育面の支援をおこなっています。その成果はしっかりと表れており、人々は貯蓄ができるようになり、少しずつ生活に余裕ができるようになりました。また、識字教室のおかげで、小学6年で字が書ける子どもの割合は、2016年の51.5%から2019年には81%に上昇しました。

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地域の小学校も建て替えました。

●学校の休校や子どもの窮状にも「子どもセンター」を通じ、臨機応変に対応

新型コロナウイルスは、ウガンダでも深刻な影響を及ぼしています。望月さんによると状況はまだ落ち着いておらず、学校は3月18日に閉鎖され、2020年12月末まで閉鎖が続く予定だそうです。また、夜9時から朝6時まで外出が禁止されており、バーは営業不可となっています(2020年9月時点)。

キルヤンガ地域の人々の生活も激変しました。小規模農家の家庭では、農産物の販売や種の購入が難しくなったために収入が減り、食料の購入や学費の支払いが難しくなるケースが急増。少しでもお金を稼ぎたい親が、他の仕事を探しに行き、昼間に家に残される子どもが増えました。残念ながら犯罪に巻き込まれた子もいるそうです。

こうした事態を受け、WVはキルヤンガ地域に「子どもセンター」を設立。感染対策をしたうえで、毎日のように学習支援や一緒に遊ぶ機会を提供しています。地域の子どもたちがこの場所に集まり一緒に学び、遊ぶことで友人関係を維持させ、学校の再開後も継続して学校に行きやすくする、というねらいもあります。

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学校の教室。

●一方的な支援ではなく、地域の人たちと一緒に進めることを大切に

望月さんに続き、2020年から支援を始めたロバランギット・カレンガ地域の開発プログラムを担当する李 義真さんが、新しい地域で支援を進める際の進め方や地域の課題について語ってくださいました。

WVでは、本格的にプログラムを始める前の準備期を重視しています。最初の事業地の決定までには、入念な調査を実施。ウガンダでは「貧困層が70%、一度も学校に通ったことがない10歳以上の住民の割合が70%と高く、生活環境も厳しい」という点から「最も脆弱で支援ニーズが高い」と考えられるカレンガ地域を、2020年からおこなうプログラムの事業地に選びました。

事業地の決定後は、住民や行政パートナー、関係者への聞き込みや、住民同士の話し合いなどをしながら準備を進めます。この際に重要なポイントは、住民を巻き込むこと。スポンサーとなるチャイルドを選ぶ際も、住民の声を聞きながら、最も困っている子どもをサポートするようにしているそうです。お話を伺いながら、これから10年間続く支援活動により、地域がどのように変わっていくのか、今後が楽しみになりました。

●アフリカの「今」を知ることで、寄付の意義を実感

WVのオンラインセミナーの参加者は90名以上。日本、世界の各地から集まった方々からは、登壇者が答えきれないほど多くの質問が寄せられ、関心の高さをひしひしと感じました。アフリカに住む子どもたちの「今」を知りたい。そんな熱気があふれていました。

今回、現地の様子や今後の活動方針を聞くことで、寄付したお金が有効に使われていることを改めて実感することができました。これからもワールド・ビジョン・ジャパンのチャイルド・スポンサーシップを通して、子どもたちの支援を続けていきたいです。

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