ワーケーションの先には思わぬ「締め切り」が待っていた

2021 / 3 / 18 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor

コロナ騒動が始まって早一年。長らくフリーランスで働く身には、世間が騒ぐような変化はありません。在宅ワークは当たり前、しかも私は一人暮らしなので、家族の世話がたいへん!なんてこともありません。ただし、地味にストレスだったのは、カフェやファミレスで長居しづらくなったこと。そこで、気分転換に「サブスク住宅」を試してみることにしました。月々定額で全国の宿や住宅に住み放題というサービスです。丸1カ月住めるコースでは家賃の二重払いになりかねないので、とりあえず月に10日まで利用できるコースを選択。少し前の話になりますが、去年の夏の経験を振り返り、新しい働き方の実験レポートとしてお届けします。


執筆:小島 和子
生まれも育ちも東京のフリーランス。編集・執筆・出版プロデュースが得意。


●涼を求めて若者たちの集うサブスク住宅へ

最初に泊まったのは東京・新宿のゲストハウス。東京23区内に住んでいる私にとって、いつもなら新宿なんて当然日帰り圏です。が、あえて都内に泊まるというのが逆に新鮮!かと。初日、冷房の効いたロビーでさっさと仕事を済ませ(涼しいだけでなんと捗ることか!わが家にはエアコンがないのです)、夕方から散歩がてら紀伊國屋書店本店へ。本好きの私にとって、歩いて紀伊國屋に行けるという距離感がなんとも不思議です。

サブスク住宅デビューの日、夕立ち後の空を見上げると、くっきりと大きな虹!

ここはゲストハウスというだけあって、利用者のほとんどは圧倒的に若い人々。見たところ、20代かせいぜい30代前半だったでしょうか。偶然なのか何なのか、ウーバーイーツで稼いでいる人々が集まっている様子で、どこそこの交差点で待機していると効率よく注文を取れるといった会話を聞くともなく聞きながら、私は粛々とブックライティングの仕事に励んでいました。

若者たちがワイワイとにぎやかにしている時間帯もあり、オフィスっぽさはゼロの環境で、仕事場としては決してパーフェクトではありません。が、逆に「わりと静かな今のうちに、キリのいいところまで片付けてしまおう」など、その場その場の「かせ」を利用して、短時間で集中しようというモードに入りやすいのが思わぬメリットでした。

まずはたった2泊でしたが、「お泊りワーク、完全にありじゃん!」と思いまして、次はいかにも「ワーケーション」という気分を味わうべく、神奈川・湘南の海に繰り出しました。

●テンション上がる海辺のワーケーション

チェックインはお盆最後の日曜日。江ノ島駅に降り立つと、あれ、コロナはどこへ?というくらい凄まじい人混み。ビキニやら露出高めの女の子たちがワラワラしている海辺に「ワーク」の入り込む余地は皆無です。まずはビールで久々の海に乾杯!

このとき利用したのは、海辺のペンション?といった風情のふつうのお宿。例のサブスクサービスのサイトで予約するときは、一応ワークスペースがありそうなところを選ぶものの、実際の環境は現地に着いてみないとわかりません。出たとこ勝負な感は否めませんが、それはそれで楽しみの1つかと。

ファンシーながらも快適なリビング。梁にかかる真っ白なベンチがメルヘンチック(?)

翌日の午前中、私の趣味的にはファンシー過ぎるリビングでひと仕事。午後は海辺のカフェとかもいいなーと、ビーサンを引っ掛けてお散歩へ。ほどなくすると、新江ノ島水族館の斜向いに、本好き界隈ではちょっと名の知れた「天狼院書店」の新店舗を発見。ランチ&午後のワークスペースをここに決めました。

長居もウェルカムな雰囲気だったので、遠慮なくのびのびカフェワーク。たまたま私がプロデュースを手伝った本を書棚に見つけ、珍しく店員さんに話しかけたりも。PC作業でちょっと目が疲れたら、テラスに出て真っ青な海と空を眺めれば気分爽快! 海辺の仕事場なんて贅沢すぎる!とテンションも上がります。

夕方には沈む夕陽を眺めながらビール!と心に誓っていたので、リラックスしつつもパタパタとキーボードを叩いていたら、さほど長時間使ったわけでもないのに、その日のノルマは案外片付いちゃったりするものです。

ちょっぴり雲が邪魔だったけど、海が夕陽に染まっていくのがいい感じ。

●目新しい「締め切り」に出会う旅

こうしていつもと違う環境に身を置いてみる利点の1つは、非日常のお楽しみが見つかる分、それを心置きなく堪能したいがための「締め切り効果」を狙えることです。住み慣れたわが家にいたら、陽が沈むまでに仕事を片付けたい!という発想は出てきません。

海辺の夕陽といえば、二拠点居住のお試し版として、数年前の冬、神奈川・三浦半島の突端に滞在したこともありました。そのときに借りていた高台の家から、マグロ漁で知られる三崎港まで歩いて5分、走れば3分というロケーション。毎日、日の入り時間を確かめて、そのちょっと前までに仕事が終わるように段取りしていたことを思い出します。Macを閉じるや家を飛び出し、ターッと坂を駆け下りて港へ。太平洋に沈む夕陽を見ていると、なぜか「今日もちゃんと頑張った!」という満足感に浸れるのでした。

三浦半島といえば三浦大根。そこかしこに無造作に干される大根たち

たぶん家族と同居している人なら、「子どもが学校から帰ってくる前に」といった外的要因をうまく生かせるんじゃないかと想像します。私は一人暮らしなので、何なら24時間すべてが自分のもの。時間資源という意味では、すごく恵まれているはずなのに、いかに集中できる時間を確保するかは、常日頃から大きな課題なのでした。

どんな環境にあっても、「今日の終業時間は18時!」などと決められればいいのでしょうが、自分で設けた締め切りを破るのなんて実にカンタン!その点、ほかの人との約束や、まして自然界の営みといった、自分では動かしがたい締め切りは効果抜群です。まさに沈みつつある夕陽に「ちょっと待った!」とは言えません。居場所を変えれば時間の流れ方も確実に変わります。次はどんな「締め切り」が待っているのか、また久々のお仕事旅に出たくなりました。

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