ENW Lab.
気軽に安心して話せる「相談窓口」をENWが開設 サステナブルに働ける環境はどう作れるか?
2022年4月から、中小企業においてもパワハラ防止対策が義務化され、就業規則の整備や実態調査、研修、相談・苦情窓口の設置などが進んでいます。ハラスメントが起こる背景には、ハラスメントを行う個人に起因する問題もありますが、社内の労働環境や組織体質、人間関係など構造的な問題がはらんでいることもあります。ハラスメント防止を進める上では、サステナブルな職場環境・労働環境を整えることが欠かせません。
エコネットワークス(以下、ENW)は、「個」が輝くサステナブルな社会を目指して、関わるすべてのパートナーが力を最大限に発揮でき、サステナブルに働ける環境を実現することに取り組んでいます。その一つが、パートナーの誰もが気軽に安心して相談できる「相談窓口」です。これはハラスメント対策などを含め、サステナブルに働ける環境づくりに向けたさまざまな声に耳を傾けていくための窓口です。2022年4月にハラスメント対応強化に関する組織メッセージを発信した上で、暫定的な相談窓口を運営しながら、約1年間かけてさまざまな角度から準備を進め、2023年4月に正式に開設しました。ここに至るまでに、どのようなアプローチをしてきたのでしょうか。
執筆:宮原 桃子
ENWでは、主に企業向けのサステナビリティ関連コンテンツ制作に取り組む。サステナブルに働くことを大事に考えており、サステナブルな休み方を考える企画やサステナブルな働き方アンケートを担当。
多様な働き方が広がる中で、誰も取り残さない仕組みを
ENWのパートナーのほとんどはフリーランスで働いているため、働き方もENWとの関係性も多様です。こうした多様性があるからこそ、ENWではパートナーとともに議論しながら、2019年から2021年にかけて働き方に関する指針やガイドラインを策定しました。同時に、サステナブルな働き方に向けたノウハウの共有(「サステナブルに働くためのヒント集 」)なども進めてきました。
さらに2022年4月に、ハラスメントなどの人権侵害を容認しないことを強く示す「ハラスメント対応強化に関する組織としてのメッセージ 」を発信し、暫定的な相談窓口を開設・運営しながら、本格開設に向けて動き始めました。重視したのは、働き方や企業と個人の関係性が多様になる中で、誰も取り残されないようにすること。そのためにも、一般的に対象となる社員だけでなく、業務委託パートナーまでを含めた制度や仕組みを作りたいと考えました。また、すべてのパートナーがリモートで働くENWだからこそ、リモート環境で働く人に生じやすいリスクや課題などをきちんと踏まえることも欠かせませんでした。
こうした要素をしっかりカバーできる相談窓口を目指して結成された相談窓口チームには、ENWと雇用関係にあるパートナーと業務委託パートナー、社会保険労務士が集まり、多様な視点で議論をスタートしました。
ハラスメント対策だけじゃない、多角的な視点で
相談窓口チームはまず2022年12月に、足元でハラスメントをはじめとする人権侵害のリスクや課題がないか、実態を把握する調査を行いました。ハラスメントなどの人権侵害に留まらず、働きやすさや労働条件・環境、心理的安全性など多角的な視点で把握することが欠かせないと考え、アンケートは題して「個が輝くサステナブルな働き方アンケート 」に。調査対象者は、社員や業務委託パートナーなど、過去3年間にENWと仕事を行ったパートナーです。多くのパートナーに調査に参加してもらえるよう、サステナブルな働き方に関連する法制度の動きに関する勉強会や調査の説明セッションを事前に行いました。
アンケートでは、国際労働機関(ILO)の中核的労働基準なども踏まえながら、「組織の全体評価」「心理的安全性」「人間関係」「労働条件」「健康・安全」「差別」「ハラスメント」といった多角的な項目を調査しました。全体的にポジティブな評価が多かった一方で、課題や潜在的なリスクも見受けられました。また、サステナブルに働ける環境づくりに向けたさまざまなアイデアも寄せられました。
結果を踏まえた対策については、組織とさまざまなパートナーがともに議論し検討することを大切に考え、パートナーとの2回のセッションを通して、以下の3つの対策を中心に進めていくことになりました。相談窓口チームだけでなく、ENWの組織基盤づくりに取り組むさまざまなパートナーやチームと連携して進めているところです。
- 対策① 相談しやすさ・関係性の強化・学び
- 対策② 見える化・深く関わりやすい仕組みづくり
- 対策③ 契約・評価ガイドライン・フローづくり
モヤモヤから気軽に相談できる「相談窓口」を目指して
職場にはさまざまな「モヤモヤ」があります。「これはハラスメントなのかも?」「いつも一緒に働いているから言いづらい」「もっとこうしたらいいのでは」……。人権侵害を未然に防ぐだけでなく、組織としての課題やリスクをタイムリーに把握し対応していくためにも、この「モヤモヤ」の段階から気軽に安心して相談できる場を用意することが重要です。ENWのようなリモートワークを基本とし、お互いが離れて仕事をする組織では、なおのこと。4月からスタートした「相談窓口」では、働く上での困りごと全般に関する相談を広く受け付けています。
あわせて 、相談窓口チームでは潜在的なリスクの防止や課題解決に向けて、相談しやすい関係性や深く関わりやすい仕組みの強化、パートナーの学びや集いの場を企画しているところです。小さな組織だからこその機動力も活かしながら、パートナーそれぞれの負担にならぬよう、一歩ずつ。今後もパートナーとともに議論しながら、サステナブルな働き方を実現できる組織を追求していきます。