ENW Lab. ENWラボ
目の前の水から、行動が変わる
難しいことを相手の心に届くように伝えるのは、
それこそ「難しい」ものです。
水道をひねれば、「飲める水」が勢いよく出てくる日本では
水がない状況を思い描くことが難しく、
水は大切、と頭ではわかっていても
自分の日常になかなか結びつかないのではないでしょうか。
食器洗いの時に水を流しっぱなしにする夫。
カウンターのこちらから、しつこくそれを止める私。
ジロリとこちらをにらむ相手に
「水が飲めなくて困っている人たちがいるんだよ」と言っても
彼の心には響かない。届かない。
家事を分担してくれるのはありがたいのですが、
どうしたものか、と思っていたところ
中学入試や私大模試の国語の問題で、
この本が取り上げられたと知って「これだ!」。
小学生や高校生にもわかるように
複雑な水の問題がシンプルに取り上げられているはず。
67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ
橋本淳司 著
読んでみて、わかっていないのは私自身だとわかりました。
・家庭・工業用水の半分以上をマレーシアからの輸入に頼っていたシンガポールは、マレーシアから水の価格を100倍に上げると要求され、海水淡水化と下水の再利用に乗り出した。
・気候変動により洪水や海面上昇が起こると、海抜の低い地域では井戸水に海水が入り、飲めなくなってしまう。
・ 2006年時点で世界の25億人は衛生的なトイレを使用することができず、発展途上国では4分の1の人々は屋外で排泄行為を行っている。その結果、生活環境が不衛生になり、生活用水も汚れる原因となっている。
特に最後の問題は、恥ずかしさと身の危険から
女性が用を足すことすらできない状況もあり、
性差別や教育の問題にもつながっていると知り、
問題の根の深さを知りました。
このような話や、試験問題で取り上げられた部分について話すと、
なるほど、とうなずき、武田信玄は甲斐国で、
民百姓のために進めた治水工事でも有名なんだぞ、
自分たちの田んぼに水を引こうと、
取水は常にもめ事の対象だった、と教えてくれました。
歴史好きから思わぬ情報も知り、驚いています。
さて、試験問題でどこが使われたか。
夫の行動が変わったか。
前者はこれから読む方のために、
後者は皆さんのご想像に任せて、触れずにおきます。
著者のご紹介:水ジャーナリスト/アクアコミュニケーターの橋本淳司さんには、2013年の下水道展で海外からの来場者向けのツアーを監修いただきました。