休みをとりやすくするための各国のユニークな法律や制度

2020 / 8 / 24 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor

 

ブラジル フランス 香港 韓国 インド アメリカ 日本
100% 100% 100% 93% 75% 71% 50%

[参考]https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2018/

 

ブラジル100%、フランス100%、韓国93%、そして日本50%———。

突然ですが、この数字は一体何を表しているか、わかりますか?

答えは、世界の「有給休暇取得率」。ある総合旅行サイトが実施した調査(世界19カ国18歳以上の有識者男女計11,144人対象、2018年実施)の結果で、なんと日本は19カ国中最下位でした。

休暇取得率が国ごとに異なる背景には、それぞれの歴史や文化、習慣、国民性など一言では言い表せない多様な要因がありますが、法律や制度が「休む権利」を後押ししていることもあります。休みをとりやすくするための各国・地域のユニークな法律や制度をまとめてみました。


執筆:新海 美保

長野在住のライター。
主な分野は国際協力・交流・ビジネス、CSR、キャリア、教育、観光、防災など。


 

 

 

 

フランス「つながらない権利法」
業務時間外に会社から連絡があっても拒否できる「つながらない権利(完全ログオフ権)」を定めた法律が、2017年に施行。罰則は設けられていませんが、権利が侵害された従業員は訴訟を起こすことが可能になりました。この権利は、イタリアでも法制化され、カナダやイギリス、フィリピン、ニューヨークなどにも広がっています。

 

 

 

 

ブラジル「バケーション休暇制度」
企業は社員に対し、1年のうち、連続30日の有給休暇を与えなければならない、という制度。ブラジルでは、この制度を子どもの長期休暇に合わせて取得する家庭が多く見られます。

 

 

 

 

スウェーデン「親休暇法」
1974年に定められた親休暇法は、子どもが8歳になるか基礎学校の第1学年を終了するまでに合計480日間を取得できる制度。このうち少なくとも60日間は父親が取得するためのもので、母親に譲渡できないとされています。

 

 

 

 

EU「労働時間指令」
1993年に制定され、2000年に改正されたEU労働時間指令のなかに、「(使用者は労働者に対し)最低4週間の年次有休休暇を与えるべき」と明記されています。他方、日本の労働基準法では、2019年4月から、すべての企業に「年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日は使用者が時季を指定して取得させること」が義務付けられました。いずれも年次有休休暇について定めていますが、EUの指令の単位が“週”であるのに対し、日本の法は“日”で、連続取得の規定がない点が大きな違いと言えそうです。

 

世界には、ほかにも「休暇」にまつわるさまざまな法律や制度がありますが、休暇の権利が成立してきた歴史や社会に着目すると、仕事と休暇を並列に考える発想も見えてきます。法や制度は政府や自治体が定めたものですが、それを踏まえた上で自分の休み方・働き方を決めていく価値観が根付く国や地域もあります。

日本には、まだまだ長期休暇をとりづらい組織文化や、休むことに対する抵抗感をもつ人が多いかもしれませんが、「休む」を意識することで疲労回復の機会を増やし、より健やかな働き方や多様な生活スタイルが広がっていくかもしれません。

 

 

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