離れていても互いに学び、つながり合う仕組み「シェア会」

2021 / 5 / 7 | カテゴリー: | 執筆者:近藤 圭子 Keiko Kondo

コロナ禍の在宅ワークで、孤独感を感じる人が増えているといいます。人は、関わり合いの中から、しあわせを見つけたり、喜びを感じたりするのだと思わずにいられません。エコネットワークスは長らく、関わる全員がリモートワークで仕事をしていますが、パートナー同士で関わり合う仕組みの一つがTSA※の「シェア会」です。それぞれの持つノウハウや視点を交換して学ぶ場で、離れて働く仕事仲間(得意な分野や職種、ENWへのコミット度合いは様々です)が、互いを知りチームのコミュニケーションを円滑にする機会にもなっています。

※TSA(Team Sustainability in Action):
ENWに関わるパートナーのプラットフォーム。サステナブルな働き方や暮らし方を志向する個人が集う、学びと実践の広場。
参考記事 サステナブルな価値を生み出す「広場」としてのTSA


執筆:近藤 圭子
東京在住のライター


オンラインでつないで「シェアする」会

シェア会は2017年にスタート。これまでに、53回(月1回以上!)継続的に実施してきました。シェア会は、TSAパートナーなら誰でも企画できます。

「◯さんに▲を聞きたい!」
「勉強した✕✕をみんなにシェアしたい!」
そんな関心をもとにテーマとゲストを決めて企画し、告知します。当日はZoomでつないで行います。

そもそもシェア会が生まれたのは、TSAのお世話役を務める曽我美穂さんのアイデアがきっかけでした。当時のメールには…

「個人的には、もうちょっと、TSAパートナー同士が交流する機会を作りたいです。(中略)参加したら何か良い知識&つながりが得られそうな、様々なお題のオンライン勉強会を1~2か月に1回程度、設定してみるのはいかがでしょうか?」

アイデアに共感したり同じ問題意識を持っていたりした野澤健さん、近藤(筆者)と曽我さんで打ち合わせ。さっそく始めることになったのでした。

どのようなシェア会が?

それでは、これまでどんなシェア会が行われてきたのでしょうか? 一部をご紹介します。(分類は筆者。一部タイトル編集)

サステナビリティを学ぶ

・ソーシャルインパクト、インパクト投資
・GRIスタンダード、IIRCフレームワーク
・ESG評価の実際
・海外の優良サステナビリティレポート
・サーキュラーエコノミー国際会議の参加報告
・スコットランドの再生エネルギー事情
・移民労働者調査の報告
・ジェンダーバイアスについて考える

代表的なのは、サステナビリティを学ぶシェア会です。海外企業のサステナビリティレポートを読んで共有する会もあれば、サーキュラーエコノミーやジェンダーのように、1つのテーマを深堀りするものも。

表現を学ぶ

・英文表現
・グローバル発信
・多様性に配慮した表現の仕方を考えよう

エコネットワークスでは、翻訳やコンテンツ制作を行っています。そのため、よい表現へのアンテナは高めておきたいもの。ときには、クライアント向けセミナーの内容をパートナーに共有することもあります。

仕事に役立つ

・翻訳チェックのプロセス
・意外と知らないレポートデザイン(InDesign)の世界
・Google Driveの活用法
・プロに聞く、写真撮影
・文章の書き方
・校正のコツ
・オンラインダイアログとオンラインファシリテーションを考える

こちらはすぐに仕事に役立てられそうなシェア会です。「翻訳チェック」は翻訳チェッカーさんの仕事を、「レポートデザイン」はデザイナーさんの仕事を聞きました。

働くを考える

・座談会 子育て×リモートワーク
・地域で仕事を創る
・個の自立/自律に必要なことを考える
・子どもを幼稚園に預けながら仕事する、の悩み相談室
・夫婦で育休ー望ましい育児と仕事のバランスとは?

「働き方」を考えるシェア会としては、自身のキャリアを考えたり、ライフイベントで働き方が変わるときに経験者の話を聞いたりする内容が企画されました。

暮らしを楽しむ

・ゼロ・ウェイスト勉強会
・初心者が聞く!コンポストの始め方
・今住んでいる場所で、気軽に国際交流
・今年の目標を発表し合おう
・英語の勉強法
・皆の瞑想の方法を学ぶ
・地域通貨の活用法
・初心者でも分かる、野口整体

暮らしを豊かにするシェア会も。TSAパートナーには、暮らしと仕事を完全に分離するのではなく、ゆるやかにオーバーラップさせている人が多くいます。地域通貨や国際交流、野口整体など、実践しているパートナーにシェアしてもらいました。

TSAを一緒につくる

・記事から考える、TSAのすがた
・今年の充電ファンドを考える
・TSAの本の貸し借りの最適な形を考える

TSAの形をともに考え、進化させていくために、一緒に考えるシェア会もありました。

シェア会のよいところ

シェア会を始めて4年。何がよいのか、あらためて考えてみました。

(1)お互いを知ることができる

お互いを知る機会は、ひとつのオフィスに集まって働いていたとしても、意識しないとなかなかないものです。離れて働くならなおのこと。シェア会は日常のプロジェクトから離れて、それぞれの人となりを知る機会になっています。

(2)お互いの「仕事を」知ることができる

なかには他の人がどんな仕事をしているかを聞く回も(例:InDesign、翻訳チェック)。「自分と違う職種の人がどうやって作業しているのかを聞きたい」と企画されました。筆者自身もデザイナーさんにお仕事をお願いするとき、シェア会後は相手の状況に思いを巡らせることが増えました。

(3)違う視点を得られる

住む場所も専門性も様々な人が参加するので、自分とは違う人の着眼点が学びになります。例えば、海外企業のサステナビリティレポート勉強会では、「翻訳者さんはそこに着目するんですね!」と表現に対する視点が学びになりました。

(4)ひとりのノウハウが「共有された知」に

一人ひとりが仕事で、あるいは暮らしで感じている「これ知りたいな」は、他の誰かがすでに経験してきたことかもしれません。一方、仕事をするチームとしても、シェア会を通じて共通言語を持つと、連携しやすくなります(一方で、参加していない人への配慮は必要です)。

(5)提案できるチャレンジの場

「まだ仕事にはできないけれども深めていきたい」。そんなテーマを研究するための「実験室」的な使い方も。また、シェア会の企画から運営、事後のフォローまでが、ひとつの小さなプロジェクトです。知らず知らずのうちに、プロジェクトマネジメント力を磨く場にもなっています。

学び続け、つながり合う

シェア会に参加するたびに思うのは、「仕事も暮らしも楽しむ皆さんの姿勢が刺激的!」ということ。なかなか会うことはできなくても、サステナビリティを志向する仲間とのゆるやかなつながりで、互いに磨き合う。シェア会は、そんな仕組みです。

個がつながる組織に関心がある方はこちら
お仕事仲間を随時募集中です。

Image by  Alexandra_Koch from Pixabay

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