道を極める

2014 / 3 / 17 | 執筆者:二口 芳彗子 Kazuko Futakuchi

bagabond

Photo by akaitori

仕事に溺れるでもなく、流されるでもなく、振り回されるでもなく。それでいて、いい仕事をする人がいます。

翻訳者にたとえて言えば、

  • 起きている間はずっと仕事、という風では決してない。
  • ただ日本語から英語、英語から日本語に直していくのではなく、しっかりと文脈をとらえて、読む人がわかりやすいように、更には読む人の心をつかむように翻訳する。
  • まったくスケジュール通りに進まない時も、クオリティの高い翻訳に仕上げる。

こういう人たちに共通することは何だろう、と考えたとき、仕事以外の時間の過ごし方にヒントがありました。

宮大工も務めることができる大工の棟梁は、弓道五段。60メートルも離れた的を射抜くことができます。初段に合格しようと頑張っている女の子が、ふと「仕事をしながら、弓を続けられるかなぁ。結構お金もかかるし…」とつぶやいたときに、こう言ったそうです。

「仕事をしながら、弓を続ける。その余裕が大事なんや」

時間や経済的な余裕、心のゆとり。仕事から距離を置いて「道」を極める。剣道、柔道、合気道など武道だけでなく、茶道、華道、香道など、仕事の片手間ではなく、きっちりと続けていく。そこで身に付いたもの、見つけたものが結局のところ仕事に反映する。

残念ながら直接お話を聞けなかったのですが、彼女に投げかけられた言葉の意味を、ぜひ尋ねてみたいと思っています。

 

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