【一歩を後押しする仕組み】小さな違和感を、社会を変える力に――「エシカルボイス・プロジェクト」

2026 / 8 / 31 | カテゴリ: | 執筆者:EcoNetworks Editor

エシカルボイス・プロジェクトのロゴ

エシカルボイス・プロジェクトのロゴ

私たちの社会において、その在り方の変容や課題解決は一朝一夕で実現できません。生活者・消費者としての個人、企業、NPO、自治体、政府など、様々なアクターの行動が重なり合うことで、大きな変化が生まれます。

エコネットワークス(ENW)は「Foster Team Sustainability together, everywhere.」というパーパスのもと、「『個』が輝くサステナブルな社会を実現するため、波を起こす一滴の雫になろう」というミッションを掲げています。その実現に向け、組織だけでなくそこに関わる一人ひとりの行動変容にも目を向け、サステナブルな社会への「一歩」を後押しする取り組みを進めています。本連載では、ENWが取り組んでいる「個」の行動変容を後押しする仕組み、成果や課題、今後の展望を紹介します。

第1回は、ENWのコミュニティ事業「TSA(Team Sustainability in Action)」から生まれた「エシカルボイス・プロジェクト」。一人ひとりが声を上げ、届けることで、サステナブルな社会への変化を促す取り組みです。その歩みと今後の展望をお伝えします。


執筆:曽我美穂
富山県在住のエコライター、エディター。ENWでは、プロジェクトマネージャーやTSAの全体運営担当を務めている。


きっかけは、2023年のサステナビリティファンド

エシカルボイスの始まりは、2023年にさかのぼります。ENWがコミュニティ事業として運営する、サステナブルな働き方や暮らし方を志向する個人が集う、学びと実践の広場「TSA(Team Sustainability in Action)」。その仕組みの一つである「サステナビリティファンド」を利用した神奈川県在住の野澤健さん、関澤春佳さんが、生活者・消費者の立場から企業などに声を届けていく「エシカルボイス・プロジェクト」を立ち上げたのです。

約半年間の活動を通じて55の企業・団体に改善の要望を伝え、48の組織からリアクションがありました。多くは「貴重なご意見をありがとうございます」という一次対応でしたが、6つの組織から今後積極的に改善に取り組んでいく旨の回答がありました。詳しくは以下の記事をご覧ください。

「声を上げてみる」ことを大切に エシカルボイス・プロジェクト

共感したメンバーで、広める方法を模索

「エシカルボイス・プロジェクト」の報告を見聞きし、「やってみたい」という声が、TSA内で広がりました。そして、サステナビリティ・ファンドが目指す「個の実践から波を広げる」がまさに形になっていきました。さらなる有志メンバーが集い、オンラインの対話セッション「シェア会」を開催。各地の仲間がそれぞれの足元でできる「エシカルボイス」を実践し、Slack(社内チャットツール)で報告し合いました。この活動は小規模ながらも2024年から2025年まで、途切れることなく続けられました。

広く社会に向けて、エシカルボイス・プロジェクトがスタート

次の転機は、2024年11月のパーパス策定です。「Foster Team Sustainability together, everywhere.」をTSAでも実践し、社会により大きな変化を起こしていくために 強化すべき取り組みを考えました 。そこで、TSAとして一人ひとりの声や行動を広く社会に発信し、新たな変化につなげる「エシカルボイス・プロジェクト」をスタートさせることになったのです。

エシカルボイス・プロジェクトは、10名ほどの参加メンバーが自らエシカルボイスを実践しながら、その波をもっと多くの方々に広げていきたいと、2025年11月からnote で情報を発信することにしました。プロジェクトの意義や目指したいことをゼロから考え、発信したい情報の整理を行い、ローンチしました。以下がスタート当初の記事です。

ちょっとした違和感を、社会を変える声に。「エシカルボイス」始めます!

実践と情報発信を通じて、世の中に「エシカルボイス」という言葉をもっと浸透させたい。そして、より多くの人々が声を上げ、社会を変革する後押しをしたい。その思いがどこまで届くかは、全くの未知数です。メンバー全員がドキドキしながらの船出でした。

フォーム

エシカルボイスのプロジェクト報告フォーム。活動をしたプロジェクトメンバーは、このフォームに活動内容を入れて共有する

声が届き、現場が変わった

毎月1~2本の記事をnoteに掲載する中で、うれしい声や反応をいただけるようになってきました。全体のページビューは累計1,800ビューを超えています(2026年8月時点)。

なかでも印象的だったのは、フェアトレードチョコレートをめぐる動きです。エシカルボイス・プロジェクトでは、2026年1月、バレンタインに向けて「フェアトレードチョコレートを店頭に置いてもらおう」と2つの記事で呼びかけました。

バレンタインには人と環境を守る「フェアトレードチョコ」を! そんな声、届けてみませんか?
「エシカルなチョコレートを置いてほしい」と感じたら。今すぐできるアクション3選

記事公開に合わせ「呼びかけるだけでなく、自分たちも行動しよう」と、メンバーがそれぞれ店舗などに働きかけました。すると、執筆者の一人である宮原桃子さんが声を届けた店舗を運営する企業の社長から、直接お返事が! 店舗と協議してフェアトレードチョコレートの販売をスタートしたとのことで、商品ラインナップの充実につながったことへの感謝の言葉をいただきました。また、「街のみなさんと育っていけるお店をこれからも増やしていきたい」というメッセージもいただきました。詳しくは以下の記事で紹介しています。

地域の企業に声を届けたら、わたしの街に素敵な変化が!-「薬局ランタン」の事例

同記事の中で、宮原さんは今回の経験を通じて感じたことを次のように綴っています。

地域の中で「消費者が企業に声を届ける、それを企業がただ受理する」という一方通行型ではなく、「消費者と企業が対話をし、一緒に新しい価値を生み出していく機会にする」という転換をすることで、地域にとっても企業にとってもポジティブな効果が生まれると改めて感じています。

皆さんも、小さな足元からエシカルボイスを実践して、素敵な変化を生み出していきませんか?

「顧客エンゲージメント」をテーマに企業と対話

その後、さらなる発展がありました。エシカルボイスをより効果的に届け、企業や社会にとって価値のある商品・サービス・取り組みの共創につなげていきたい――。そんな思いから、ENWが運営する「組織を超えた学びと対話のプラットフォーム『Wave With(ウェーブ・ウィズ)』」と連動させ、「顧客エンゲージメント」をテーマに企業関係者と対話セッションを開催したのです。

セッションでは、消費者と企業双方の視点や考えを学び合うことができ、エシカルボイスプロジェクトのメンバーにとっては声をより効果的に届けるヒントを得る貴重な機会となりました。企業から参加した方からも「メーカーとして参考になる有意義な時間だった」とのコメントをいただきました。詳しくは以下の報告記事をご覧ください。

サステナおしゃべり会「消費者の声をどう活かす? 共創を生む顧客エンゲージメントを考える」

一人ひとりの声から、波を起こす

スタートから9ヵ月。これまでに17本の記事を公開してきました。一つひとつの記事が、読者に思いを届けるだけでなく、書き手自身がエシカルボイスについて考え、さらなる実践につなげる機会にもなっています。

日々の暮らしの中で、エシカルボイスを届けていく。正直なところ、ときには「変わらなさ」にうんざりすることもあります。そんなときは、声を上げたことをきっかけにお店や企業に変化が生まれたことや、読者からの励ましの声を思い出しています。

小さな声でも、少しずつ波を起こせる。そんな実感が、活動を続ける力になっています。

エシカルボイス・プロジェクトのnote

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