Interview:Hondaは、Faceで、どんなコミュニケーションを行っているのか?

2013 / 11 / 8 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor
“環境というものも、人、
「生身の人間」がやっているわけです”

face

インタビュー:2013年10月7日
聞き手:小林一紀(エコネットワークス代表)
お話:加藤久 開発技師
経営企画部 環境安全企画室

はじめに

この9月、Hondaは環境報告で一つの高い評価を受けた。

「CDP Global 500 Climate Change Report 2013」の結果においてHondaが日本企業トップの開示スコアを獲得し、世界の先進企業の1社に選出されたのだ。

また1月にも、Honda環境webサイトが「環境goo大賞」の「地球温暖化対策賞」を受賞。その受賞理由の一つに、研究所や製作所の従業員の方々などの『人』にフォーカスし、環境課題へのチャレンジをドキュメントタッチに描いた「Honda Face」に非常に共感できること、とある。

「Honda Faceに込めた想い」には、Face誕生の背景についてこう書かれている。

「ひとつは、Hondaが持つ独特の文化、Hondaらしさを多くの人々に知ってほしいという想い。お客様に良いものをお届けするために、社会に貢献するために、何より自分が納得するために。

仕事だから、会社に言われるからやるのではない。やるべきだと思うからやる。
一件好き勝手な振舞いのようでも、その行動は信念に基づき、いざという時には皆が心をひとつにして物事に取り組む。

そんなHondaのモノ作りの文化は、環境への取り組みに対してもまったく同じです。

環境に対する熱い想いを持つ人々は、Hondaの環境取り組みを支えている。
こんな人々がいるから、Hondaは環境先進企業であり続けることができる。
そのことを知ってほしいから、「環境ドキュメンタリーHonda Face」が生まれました。

そしてもうひとつは、彼らの取り組みの記録を、いつでも誰でも、
すぐに触れることができる場に置いておきたいという想いです。
Hondaの環境への取り組みは、終ることなく永遠に続きます。だからこそ彼らの取り組みも、いつまでも色褪せることの無い、現在進行形の物語として多くの方々に見ていただきたい。

そのためには、Webコンテンツとするのが最良の選択だったのです。
Hondaの環境への取り組みの背景にある「人と技術」の物語を、ぜひご覧ください。」

環境年次報告、ならびにFaceの編集長である、環境安全企画室の加藤久技師にお話を聞いた。


インタビュー

●いまの形のFaceになった経緯は?

2011年に私が担当してから、発信のあり方を改めて考えました。

16年前に環境報告を出した頃は、他社も作るところが少なく、学生も含めて多くの方が興味をもった。
しかしながら、過去には2-3万部を印刷し全てなくなっていたが、冊子としての発行部数は年ごとに徐々に減ってきていました。

これまでの形の情報発信は、一通り「行き渡った」のだと感じました。

同じことを踏襲していては意味がない。
やり方を変える必要がある、と考えました。

環境というものも、人、「生身の人間」がやっているわけです。

2011年までは、HEAR(環境年次報告書)の一環として事例集を作成していました。
これまで論文調だった事例集を、初めて人というものに軸を置いて、人の想いを取り入れたものに変え、Faceが誕生しました。

honda2

●反応や手応えは?

記事の字数では1万字弱と多めですが、意外に多くの人から「Face見たよ」と声をかけられました。

確かに環境年次報告を側面から支えるツールの一つとして効果をもっている。

ならばもう一歩進めて、報告書の副読本としてではなく、独立して発展させられないかと。

そうしたところ、想定を超えて、見てくださる一般の方だけでなく、記事で扱った人や社員一人ひとり、またその家族を含めて、「嬉しい」「やりがいを感じる」というフィードバックがありました。

また、メディアの記者の方も、最近は「Faceを見ました」と、取材の際には印刷したものを持ってくるようになりました。

訴求ができはじめたかなと感じています。

「Hondaの環境って、わかりやすくなってきたよね」
「こういうことを具体的にやっているんですね」
と言っていただけることを目指したいと考えています。

●Hondaが日々実践している内容と合致した発信ですね。

HEAR(環境年次報告)の2013年版でも、「社長から現場まで」という姿勢を表現することにこだわりました。
これは、社長がいつも社員にいっていることでもあります。

「社長から現場まで一貫して」やる、ということです。

会社の社員そのものが共感できることが大切だと思います。


小林の視点

ph_kobayashi
Faceを読んでいると、Hondaのスピリットを確かに感じることができる。
「想い」の言葉が響いてくる。「ひとつは、Hondaが持つ独特の文化、Hondaらしさを多くの人々に知ってほしいという想い。お客様に良いものをお届けするために、社会に貢献するために、何より自分が納得するために。仕事だから、会社に言われるからやるのではない。やるべきだと思うからやる。
一見すると好き勝手な振舞いのようでも、その行動は信念に基づき、いざという時には皆が心をひとつにして物事に取り組む。そんなHondaのモノ作りの文化は、環境への取り組みに対してもまったく同じです。」Hondaの実践する、革新を生む仕事への確かなアプローチ。
それが環境というテーマにもあてはまる、ということが、Faceから私が感じることである。
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