ENW Lab. ENWラボ
人権やDEIをテーマにした二人展を開催
エコネットワークス(ENW)が運営するコミュニティ、TSAでは「サステナビリティファンド」という仕組みを設けています。TSAに参加するパートナーが自身や社会のサステナビリティにつながる活動をしたいときに、資金面から取り組みを応援する制度です。
岩村千明さんは、同制度を活用し『日常で描く違和感を切り取り、言葉と絵で紡ぐ世界』と題した二人展を開催しました。
執筆:岩村千明
静岡県在住のライター。一人ひとりが「自分」の大切なものを大切にできる、「自分」を生きられるきっかけになるような発信を心がけている。

(Photo by Chiaki Iwamura)
2024年11月、絵描きの親友on.myco.lorと『日常で描く違和感を切り取り、言葉と絵で紡ぐ世界』と題した二人展を自由が丘で開催しました。
大学時代からの友人である彼女も私も、「誰一人取り残されない社会の実現」に向けて、世の中に働きかけていくことを人生のテーマとしています。また私自身、仕事柄、普段は企業を対象とした記事を書くことが多いため、「人権やDE&Iなどの観点から日常で抱く違和感やそれを乗り越えるきっかけになった言葉や経験を、異なる層の人たちに届けたい」という想いを長年抱いていました。そんな二人の想いから、開催に至った今回の展示会。その費用の一部として、サステナビリティファンドを活用させていただきました。
「私」の経験を社会の出来事として伝える
ふとした瞬間に、誰かの言動が心にひっかかる。ある場面や情景が頭から離れず、モヤモヤする。そうした違和感の欠片を、記憶の糸をたどりながら一つひとつ丁寧にかき集め、言葉を編む。それを読んで得たインスピレーションをもとに親友が絵を描く。こうしたプロセスを経て生まれたのが、こちらの7作品です。
今回の作品制作を通じて、「私自身の経験や違和感を社会の問題として捉え直し、伝える」という物書きとして大切にしたい自分の「核」のようなものに触れることができたと感じています。
来場者との対話から得た気づき
当日はたくさんの方々が会場に足を運んでくださり、多くの言葉を交わすことができました。なかでも印象的だったのが、ENWパートナー※の一人が後日メールで伝えてくれた言葉です。
差別意識や恐れや偏見、多様性を受け入れることなど本当にできるのだろうか、という思いなど、自分の中に間違いなく存在するものを的確に言語化してくれているようで、でもその言葉の中に揺らぎのようなものも感じて、書かれているテーマは重いものであっても、優しい筆致のせいか、とても安心感を覚えました。-中略- ストーリーとして、物語性を持って、フィクションのようにして描かれているからこそ、私の中にスッと入ってきました
私は昔から小説が大好きなのですが、なぜ小説を読むのか、なぜ物語を書きたいのか、その理由を代わりに言語化してもらったような、「小説を書く」という次の目標に向けて背中をぐっと押してもらったような気がしています。この方自身も「小説に求めていることの一つはそこかもしれない」とおっしゃっており、今回の作品やその後の対話を通じて二人同時に同じような気づきを得たことにも、また心が温まりました。
※ENWパートナー:ENWの事業に携わる人。雇用契約者、業務委託契約者の両方を含む。
アフタートーク~心の奥底から湧き上がってくる「ワクワク」を大切に生きる~
会場では、来場してくださった方々とワークショップを通じた対話のようなものも準備していたものの、当日はバタバタで実施できず……「残念でした」とポロっとこぼしたところ、TSAのシェア会担当の方が、アフタートークの場を設けてくれました。
その際に話題の中心となったのが、本展示会のテーマの一つでもある「自分を生きる」「自分らしく生きる」ということです。

二人展 作品「泉」(Photo by on.myco.lor)
結局のところ、心の内側からこんこんと湧き上がるものは蓋をしたところで抑えることなどできないのだ。ときに周りの雑音に惑わされそうになっても、日常の忙しさに追われていたとしても、内側から湧き出る泉の水音に耳を澄ますこと。その音に身を任せ、歩むことこそが、『自分を生きる』『豊かに生きる』ということなのかもしれない
二人展 作品「泉」より
参加者一人ひとりが、それぞれのあり方や大切にしていること・していきたいことについて言葉を交わし合うひとときとなり、このような時間を持てたこと、そのきっかけとなったのが自分の編んだ物語であったことに胸が高鳴ります。
長い月日をかけてようやく生まれた今回の作品集。そこに込められた小さな小さな願いの粒が、いつか誰かの物語を照らす一筋の光になりますように。そう祈りながら、次なる挑戦に進みたいと思います。