ENW Lab. ENWラボ
週に1度、畑に「通勤」する暮らし
エコネットワークス(ENW)が運営するコミュニティ、TSAでは「サステナビリティファンド」という仕組みを設けています。TSAに参加するパートナーが自身や社会のサステナビリティにつながる活動をしたいときに、資金面から取り組みを応援する制度です。
東京都在住のライター、小島 和子さんはファンドを利用し「東京で農ライフ!」を満喫しているようです。どんな日々を過ごしているのでしょうか?
執筆:小島 和子
生まれも育ちも東京のフリーランス。編集・執筆・出版プロデュースが得意。
私がファンドを活用して取り組んだテーマは「東京で農ライフ!」です。
東京都下の国立市に、農を活かしたまちづくりに取り組む「くにたち農園の会」というNPO法人があります。田んぼ、畑、子育てなどにアクティブに取り組んでいるグループなのですが、私はそこの畑プロジェクト「コミュニティ菜園 みんな畑」のメンバーとして活動しています。ファンドはその年会費に充当させていただきました。
畑作業は毎週月曜の午前中。他の仲間は地元の方ばかりで、徒歩か自転車で畑に来ているのですが、東京23区の西端に位置するわが家からだとドア・ツー・ドアで1時間弱。ちょうど「通勤」という感じで、週1回のルーティーンに、畑での活動を組み込んでいます。
ここは区民農園のように、自分の区画が決まっているわけではなく、みんなで協力しあいながら作業しています。
日ごろはマイペースで作業することが好きな私にとっては、自分用の区画が決まっている畑のほうが気楽な面もあります。でも、だからこそ「仲間と一緒に」というチャレンジもよいな、と思って始めました。基本は週に一度の作業日に顔を合わせるだけですが、ゆるやかなネットワークづくりにもなっているな、と感じています。

6月初旬。きゅうりやトマトなど、夏野菜がすくすく成長中です。
畑の広さは100㎡程度。そこで季節折々の野菜を育てています。農薬は使わず、有機完熟堆肥を使った無農薬栽培に取り組んでいます。種は固定種も使いますが、あまり頑張りすぎず、ホームセンターで売っている種や苗も取り入れています。「こだわり」の部分と「たくさん収穫できて楽しい」というやりがいのバランスをとっている感じです。

畑の一角でせっせと育苗も。直播きと苗の植え付けとの「二刀流」で収量アップを目指しています。
作業分担はあまり厳密に決めておらず、月曜の朝に集まると、それぞれが気になる畝の手入れに取りかかります。
私が好きなのは、トマトのお世話です。1週間で茎がグイグイ伸びてしまうので、あっちへ誘引、こっちへ誘引と大忙しです。この畑では「脇芽を挿し木にして株を増やしちゃおう作戦」を敢行し、あれこれ工夫しました。その結果、一定の成果を挙げられたと自負しております。
昨シーズン、トマトの脇芽をいきなり投入してみましたが、ほとんど根付きませんでした(下の写真)。そこで、いったん水を入れたコップに入れて、根出しする作戦に切り替えました。
すると、どうでしょう! あっという間にこんなに立派に! 仲間たちから「こじまトマト」と命名されました。
畑への週1回の「通勤」がすっかり生活の一部となった今日このごろ。実は、「サステナビリティファンド」を活用する期間は終わっているのですが、今も「コミュニティ菜園 みんな畑」の活動を続けています。東京の住宅街に生まれ育った私にとって、ささやかながらも「農」を感じられる時間はとても貴重に感じられ、暑い日差しや蚊の襲来にもかかわらず、ついつい通い続けてしまうのでした。

ときには、収穫したてのインゲンを持ってキャンプへ。たき火で蒸し焼きにすると最高です!