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ライフステージに合わせた働き方―家族の介護が必要になったら第3回
Photo by Milica Sekulic
介護のあるワークライフバランス
介護についてブログを書こうと思う、と社内のメンバーに話したときに、「コツみたいなものを10個ぐらいにまとめてはどうか」とアドバイスをもらいました。3年半の介護生活の中でこうしてよかったとおもうことを、ワーク編、ライフ編、メンタル編にまとめてみました。
◆ワーク編
1. 仕事はつめこみすぎない。
病気の症状が安定しないときは特に、使える時間に対して70~80%の予定にしておきます。そして仕事の完成度100%を目指します。
2. 仕事に集中できるときは、他のことはしない。
時間があると思うと、あれこれ仕事以外のこともしたくなってしまうものですが、まず仕事を終わらせる!と決めて進め、時間が余ったら、その他のことに自由に使うようにしましょう。
3. いざというときに備えて、自分の担当している案件の情報をメンバーと共有しておく。
クライアントの担当者やプロジェクトメンバー等の連絡先、プロジェクトのスケジュール、各種書類などを前もって共有しておくと、いざという時にあわてずにすみます。
4. 締切や期日の一日前には完成しているように、予定を組む。
1と矛盾することかもしれませんが、余裕を持って進められるときに進めておくと、緊急時にもあわてずにすみます。不思議なこと、そして嫌なことに、病状の悪化など、締切間際に起こりがちなのです。日頃から時間管理にそのような癖をつけておくことをおすすめします。
◆ライフ編
5. 介護が必要な家族の病歴をメモしておく。
納得できる病院やデイケアセンター、医療専門家に出会えるまで、毎回同じことを説明しなければなりません。正しく簡潔に伝えるために、準備しておくと役に立ちます。
6. 一人で抱え込まない。家族や親せき、プロの方に相談し、さまざまな視点を持つ。
例えば、本人が落ち込んでいる、リハビリなどに意欲的でない、介護する自分がつらくなった時などは、できるだけ第三者に話を聞いてもらい、一緒に対策を考えてもらうようにしたいものです。つらい時はどうしても感情が前面に出てきてしまいますが、それをいったんわきに置いて、理性的に「いま」の最善策を探そうと気持ちを切り替えると、ずいぶん楽になります。
7. 市役所/区役所の担当課に相談し、受けられるサービスを確認し、利用する。
私の地元の金沢市では、歩行補助機や杖、簡易トイレなどの費用の一部負担や、通院などの際のタクシー料金補助など、市役所に行かなかったら知らなかったサービスがたくさんあり、ずいぶん助かりました。きちんと手続きをすれば利用できますので、まず調べてみてください。
◆メンタル編
8. 自分のためだけの時間/体験を持つ。
介護や家事などに追われていると、気がつかないうちに疲労がたまっています。友だちに会っておいしいものを食べる、美容院に行く、映画を見る、本を読む。いつもと違う人に会う、自分を変える、きれいにする、日常とかけ離れた情報に触れることをおすすめします。(世間体は気にしないことです。)それもできないときは、例えば自分のためだけに丁寧にお茶を入れるだけでも、心がすっとすることがありました。リフレッシュして、さあ、またがんばるぞ!と気持ちも切り替わるので、おすすめします。
9. 季節ごとの行事を大切に。
七草がゆ、春のお花見、お節句、お彼岸など、季節ごとの行事を生活にとりいれると、お世話する側もされる側も、今年もここまで元気でいられた、いてもらえた、とほっとするものです。特に、「ならでは」の食べ物は大事だったな、と思います。和菓子の大好きな母でしたので、その時々のうれしい顔を、いまでも懐かしく思い出します。
10. 一日一日を感謝して。
大事な方を介護されている真最中の方には過酷な言い方かもしれませんが、老いは誰にも避けられるものではなく、やがてお別れの時がきます。お世話しているときは、そんな風に考えられないし、考えないようにしようとするものですが、終わりがあることを悟ると、今日一日あれができた、こんな風に喜んでくれた、とうれしいことやよかったことを見つけて感謝できるようになります。思うようにいかない日もありますが、できたことを見つけて、感謝して過ごすようにすることで、穏やかな気持ちでいられます。
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このシリーズを書き始めたときは、ここでいったん終わりにしようと思っていたのですが、また時間をおいて思い出したり、考えたりしたことなどもお伝えできたらと思うので、「最終回」ではなく、第3回としました。ひょっとすると、バガボンドほどブランクが空くかもしれませんが、気長にお付き合いください♪