ENW Lab. ENWラボ
細島史郎 インタビュー (その3)
硲:働き方に関して、普段よく考えることはどういうことですか? 働き方に関する課題は何ですか?
細島:今の働き方は自分にとってチャレンジだと思っています。私はゆっくり時間をかけて勉強して成果を得るタイプの人間なので、効率を求められることはチャレンジです。自分はいつも周りから試されている状況にいるように思います。でも、それが自分としては正しい道だと信じています。かつて、ユタ大学に行ったのも、あえて楽な環境から離れるためでした。その前はサンディエゴに住んでいたのですが、そこでは遊ぶ場所をよく知っていたので、そのままそこにいたら駄目な人間になってしまうと思い、遊ぶ場所のない田舎の全く新しい環境に自分を置いたのです。
効率の他には、コミュニケーションもチャレンジです。基本的に遠隔で働いていると、他のメンバーと顔を合わせる機会があまりありません。顔を見れば、相手の気持ちが分かり、ちょっとしたコミュニケーションができますが、遠隔ではそういうことが難しいんです。冗談を言ってみたり、ちょっとしたおしゃべりをしたり、そういうことが好きなので、他のメンバーと一日2回とは言わないけど、一日1回はそういう話ができればいいなと思います。最近では、定期的にカフェを開催し、実際に集まって話し合う場を設けています。
硲:今後、個人として、プロフェッショナルとして、社会の一員として、どのような未来を描かれていますか?
細島:多くの人は、未来というと10年、20年後を想像すると思うけれど、私にとっての未来は、10分、20分後くらいなんです。自分の性格上、それくらいまでしか責任を持って見られないんです。いつも心に入れているのが、今生きている人たちは、百何年か後には皆いないということです。そういう人たちと、今の時代を作り上げていきたい、という気持ちがあります。将来のことは将来の人に任せればいいけれど、将来の人のために、自分たちでどうにかしていきたいという思いがあります。そのために自分にできることは何なのかということを常に考えています。エコネットワークスは、それを実際にチャレンジしていく場です。
正直、人間はどんな問題が起きても、あまり変わらないと思います。どういう状況にあっても、自分の周りにいる人たちと一緒にどうにかやっていく、ということ自体は変わりません。自分たちはサステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいますが、極端な話、社会全体がそういう方向を向いて個人に強制するようになったら、個人はそれに従うのか疑問です。やっぱり、個人にある程度の自由があって、それぞれのオリジナリティを輝かせて、面白くなければいけないと思います。面白さを生かせるというのもサステナビリティだと思います。
自分は病気にかかって、人生が一度終わった人間だと思っています。第二の人生が23歳の頃から始まり、最近子どもが生まれるまでは、自分には失うものがありませんでした。自分の思いを社会が認めなくてもいいと考え、自分を信じてやっていきたいと思っていました。でも、最近子どもが生まれてからは、自分の中ですごく格闘があります。自分の道をどこまで貫くか、という格闘です。このことは、自分にとって大きな変化だと思っています。