小林一紀 インタビュー(その2)

2011 / 6 / 3 | 執筆者:EcoNetworks

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硲:各分野のスペシャリストである「個」が集まって
柔軟なスタイルで働くという「チーム・サステナビリティ」の
発想はどのようにして生まれましたか?

小林:「チーム・サステナビリティ」は、今のコアメンバー全員で
築いてきた考え方です。
フリーランスと一般的な会社の働き方には、それぞれに長所と短所が
あります。「チーム・サステナビリティ」は、「個」がベースになり、
しかもチームとしても機能するという、両方の長所を活かした形態を
イメージしています。
私自身は、大学卒業後、アントレプレナーを志ざし、
フリーランスから出発しました。
フリーランスの働き方には「個」として自由に
仕事が組み立てられるというメリットがありますが、
能力を引き出してくれる上司がいるわけではないので
仕事が固定しがちである、孤独な作業が多い、クライアントとの関係性が
上下関係になりやすい、という限界も感じていました。
その一方で、会社や社団法人に一時期かかわっていたこともありますが、
こうした組織では、「個」を活かすより組織の論理が重視される、
オフィスなど集団で過ごす時間に案外無駄が多い、
ということに難しさを感じました。
これらの課題をどうやって乗り越えていくか、という問題意識が、
「チーム・サステナビリティ」の原点です。

硲:「サステナブルな働き方」を実現するためには何が重要でしょうか?

小林:「働き方」を考えるとき、「生き方」の問題にぶつかります。
限られた人生です。
仕事もプライベートも社会活動も含めた時間の使い方に納得して、
日々生きていたい。納得ができないところがあれば、
生き方や人生の優先順位を見つめ直し、
「働き方」をそのなかで作っていきたいと思っています。

「サステナブルな働き方」がどのようなものか。
みなさんはどう思いますか?それぞれの哲学に基づいて
いろんな定義があっていいと思います。

反対から考えてみますと、私の場合は、サステナブルでない働き方とは、
会社や家庭など、何かに依存していたり、犠牲にしていたりする
働き方かなと。

突き詰めていくと、私の場合、自分の「稼ぐ」能力に自信がないと、
何かに依存してしまうと思いました。だから、何か一芸を持ち、
いざとなれば自分で稼いで食べて行ける(と思える)ことが、
現実的な鍵かもしれません。

同時に、逆説的ですが、いざとなれば、現金収入がなくても
生きていけるという自信がもてるとさらに心強いと思います。
今よりももっと物やエネルギーがある生活を前提にしてしまうと
これは難しいですが、少ない現金収入で十分豊かに暮らしていけるという
発想がもてると、仕事にとらわれにくくなると思います。
現金収入がないと生きて行けないと思ってしまうと、
仕事にとらわれて、どんどん追い込まれてしまいがちです。

僕はパーマカルチャーという、サステナブルな生き方や暮らしのデザインを
学ぶ学校(パーマカルチャーセンタージャパン)に一年間通いました。
週末に2日間寝泊まりして、穀物を育てたり鉄を打ったりして、
消費するのではなく「作る」生活を学びました。こういう体験をしていくと、
自ずと見えてくることがあります。僕は20代の時に上手くいかない時期を
経験して、25、26歳の頃は一番もがいていました。その頃にこの経験をして、
発想を転換しました。そういう場に行き、「作る」技術を学んだり
生き方や働き方について同じような疑問をもった人達とつき合うことで、
発想の転換につながると思います。

それから、つまずくことも大切だと考えています。
メインコースから「降りて」みる。例えば、日本の出世コースも
そうですが、世界の消費文明の流れからも「降りる」覚悟さえ
もってしまえば、既存の枠組みにとらわれずに考えられるようになります。
僕は20代の後半に、今の文明から降りて、それに変わるものを
自分で作っていくのだと決意しました。とは言うもののいまだに文明の
メリットを享受しているのですが、それくらいの気持ちでした。

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