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木村ゆかり インタビュー (その3)
硲:働き始めてから今までに、働き方に関する考え方や想いにどのような変化がありましたか?
木村:大学を卒業し、海外で働いた後で日本に帰国しましたが、当日は中途採用というのが珍しく、求人が少なくて、おまけに私の場合は地方で仕事を探していたので余計にありませんでした。そういうことを事前に調べもしなかったので、そのときはちょっと後悔したのですが、自分なりの働き方を作っていくしかないと思いました。当時は一般的なコースから外れて働いている人があまりいなかったので、お手本になる人もいませんでした。地方都市で女性が中途で採用されるというと、派遣社員や契約社員しかなくて、英語を使える職も少なく、そういう日本社会に幻滅したところもあって、海外で働きたいと思いました。それで、日本語教師を目指して勉強したこともありました。
しかし、そうこうしているうちに、日本企業の社内通訳・翻訳の仕事に巡り会いました。それまでに翻訳の勉強をしたことがなかったのですが、その会社の方が皆さんとても親切で、技術の知識がない私に丁寧に教えてくださり、その分野では少しずつ力を付けて翻訳や通訳ができるようになりました。この会社で20代から30代前半にかけて働いたのですが、結婚して出産すると、できれば在宅で働きたいと思うようになりました。周りの女性が、子どもを1歳までは自分で育て、その後は保育所などにあずけて会社で働き続け、子どもが病気の時でも仕事を休めないとか、病気を早く治させるために仕方なしに薬を飲ませるとか、そういう姿を見て、何か別のいい方法がないだろうかと考えました。在宅なら昼間に子どもの面倒を見て、夜に子どもが寝ているうちに仕事ができるので、子どもに無理をさせずに働けるだろうと思い、在宅の仕事に関心を持つようになりました。
フリーランスになってからは、翻訳の力を磨きたいと思い、手当たり次第、仕事を受けていました。友達のミュージカルの台本だとか、何でもやっていました。ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)のボランティア翻訳も、会社にいた頃から始め、当時も続けていました。とにかく実績を積みたいと思い、どんどん仕事を引き受けました。そのうちに、在宅でも仕事の誘いを受けられるようになっていきました。そして、エコネットワークスとの出会いがありました。
硲:木村さんにとってエコネットワークスとはどのような存在でしょうか?
木村:エコネットワークスというのは、今までに出会った会社の中でとても珍しい形態の会社です。皆さんそれぞれ個人として働いていて、なおかつ組織で動く時はぐっと集まって力を結集できます。軽やかで、強い束縛みたいなものがなく、でもやるときはぐっと集まってできるという、すごくバランスがとれた組織だと思っています。
エコネットワークスは、順応性があるというか、形が定まっておらず、どんどん変化していきます。今の時代において、変化していくことが大切なことは、毎日の生活でも感じています。これがよかった、あれがよかった、ということがどんどん崩されていて、これからもどんどん変わっていくと思います。そういう変化に対応していかなくてはいけない。エコネットワークスは、そういうことを会社として実行しています。型が決まっているのではなく、その状況に合わせて変化していく会社です。
エコネットワークスは、参加している個人がエコネットワークスの外でしている仕事も尊重してくれています。また、出入りのしやすい組織だと思います。何か事情があって出ていくことになっても、そのときどきでお互いにいい形でつながれる、そういう組織は珍しいと思います。