寄付のご報告 エコネットワークスから10団体へ

2020 / 6 / 8 | カテゴリー: | 執筆者:EcoNetworks Editor

突然ですが、皆さんは「寄付」という言葉にどんなイメージをもっていますか?

日本には長らく寄付の文化がないと言われてきましたが、今や個人の年間寄付総額は7,756億円。法人寄付は7,909億円にのぼります(2016年※出典:日本ファンドレイジング協会調査研究『寄付白書』)。特に2011年の東日本大震災以降、日本でも「寄付をしたことがある」という個人・企業の数は増え続けています。背景には、「ふるさと納税」や「ポイント寄付」、クラウドファンディングなど新しい形の寄付の仕組みや寄付税制の充実、寄付・社会的投資の市場拡大などさまざまな要因があります。

エコネットワークス(ENW)でも、2017年から毎年1回、社会課題の解決を目指すNPOへの寄付を続けています。昨期は、2019年9月末、総額78万4,000円を10団体に寄付しました。社会貢献の観点から前期より増額し、NPOの選定にあたっては、TSAパートナーにアンケートで寄付に対する考え方や推薦団体を聞き、「ENWらしい寄付」を意識しました。また、アカウンタビリティの視点も重視し、各NPOの皆さんと直接、連絡をとった上で寄付先を決定しました。寄付先のNPOから寄せられたメッセージや寄付金の使い道について、以下お知らせします。


執筆:新海 美保

長野在住のライター。
主な分野は国際協力・交流・ビジネス、CSR、キャリア、教育、観光、防災など。


シンク・ジ・アースロゴ

SDGs for School

一般社団法人シンク・ジ・アースが運営する「SDGs for School」は、持続可能な社会づくりを目指して活動する先生・生徒を応援するプロジェクト。SDGsを楽しく学べる教材や、各地の指導者をつなぐための研修・交流の場をつくるほか、子どもたちを「問題の現場」となるフィールドに連れて行くツアー型授業や出張授業も展開しています。「未来を担う子どもたちにSDGsを伝える活動は、これからの社会に大切。そう思って推薦しました」とは、TSAパートナーの曽我 美穂さん。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、シンク・ジ・アース理事の上田 壮一さんは、“コロナ後”の世界を少しでも前向きに考えていくための情報発信も続けています。

https://www.thinktheearth.net/jp/2020/05/corona-viewpoint/

 

ワセダクロニクルロゴ

特定非営利活動法人ワセダクロニクル

2017年に早稲田大学を拠点に発足し、独立・非営利の「探査ジャーナリズムプロジェクト」を運営。世界77カ国182組織が加入するグローバル調査報道ネットワーク(GIJN)のメンバーで、『石炭火力は止まらない』『バナナと日本人』などのシリーズ記事が注目を集めています。「持続可能なニューズルームの実現のためには人件費が課題。ご寄付を力にこれからも尽力します」とは編集長の渡辺 周さん。推薦者の野澤 健さんは、「健全な社会の実現には、大きな力を持つ権力や組織に対する監視の目を高めていくことが不可欠。寄付を通じて日本のジャーナリズムを育てることに貢献できたら」と言います。5月から始まった「新型コロナで『ビジネスチャンス』ー巨大たばこ産業の企み」も、海外のメディアパートナーと連携して執筆した今注目のシリーズ記事です。

 

A-PADジャパンロゴ

特定非営利活動法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン

大規模災害時の緊急・復興支援、防災や減災のための活動を続けています。2015年、国際機関アジアパシフィックアライアンス(A-PAD)の一員として、佐賀県で設立され、佐賀県、佐賀市、佐賀大学医学部附属病院と連携協定を締結。2019年12月に医療従事者を被災地に派遣する、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS(アローズ)”の立ち上げに参画し、現在は目下、新型コロナウイルス感染症の緊急支援活動に尽力中。事務局長の根木 佳織さん曰く「災害用に備蓄していたマスクや防護具を全国の医療・福祉機関に届け、院内感染を防ぐためにトレーラーやテントの貸し出しも続けています」。推薦者は、筆者

 

soarロゴ

特定非営利活動法人soar

人のもつ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていくウェブメディア。障害や病気、貧困や格差など、さまざまな困難に出会った人たちをサポートする活動や、困難のなかでも自分らしく生きる人々のストーリーに光を当て、情報発信しています。新型コロナウイルスの影響でイベントの延期・中止を余儀なくされていますが、定期的な活動説明会やトークイベントはオンライン配信は続けています。「ご寄付は、メディア運営にかかる記事作成費、取材の交通費、サイト開発費などに活用させていただきます。本当にありがとうございます」(soar代表 工藤 瑞穂さん)

 

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ ロゴ

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 

視覚障害者に導かれながら「純度100%の暗闇」を体感できるソーシャルエンターテイメントを日本各地で開催。全国23万もの人が参加し、推薦者の二口 芳彗子さんも期間限定で開催された「ダイアログ・イン・ザ・ダーク@ショーケース金沢21世紀美術館」で、暗闇の世界に魅了された一人。2020年7月、東京・浜松町の複合施設「ウォーターズ竹芝」内に、常設のダイアログ・ミュージアムがオープン予定です。なお、新型コロナウイルスの感染拡大にあたっては、在宅長期化に伴う視覚障害者・聴覚障害者が抱える困難について調査し、5月、実情を広く伝えるための記者会見を行いました。

 

公益財団法人奥山保全トラスト

公益財団法人奥山保全トラスト

多種多様な生物から成る奥山水源域の森が開発されることのないよう、市民が寄付を出し合って買い取り、保全する——。この「ナショナル・トラスト運動」を目的に設立された奥山保全トラストは、2019年12月現在、全国18カ所に合計2,290haの奥山を保全しています。「自然からの恵みは人間にとってとても大切です。でも目先の経済活動のために壊され、もとに戻るには長い長い時間がかかります。一方、自然を守り、回復できるよう助けられるのもまた、人間。これからも保全林が増えていきますように」とは、推薦したTSAパートナーからのメッセージ。事務局の村上僚さんによれば、「2019年には群馬県多野郡で15.7ha、岐阜県本巣市で175haの2カ所で合計190.7haの奥山を保全することができました」

 

 

ENWでは、上記以外に国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンのマンスリーサポーターとして寄付し、ルワンダに住む少年やコミュニティの活動を支援しています。また、プロジェクトでつながりのあったアムネスティ・インターナショナル日本やアジア・太平洋人権情報センターなどにも寄付しました。

「寄付は“だれかを信じて託す”行為です。その意味では寄付が進む社会は、“信じあう社会”であり“応援しあう社会”なのだと思います。次世代の子どもたちが、社会のために頑張っていればだれかが応援してくれると信じられる社会を実現するためには寄付の力が必要です」。社会のお金の流れを変えることを目指し、多方面で変革をもたらしてきた日本ファンドレイジング協会・鵜尾 雅隆代表の言葉です。

TSAパートナーへのアンケートでは、回答者のほぼ全員が「寄付をしたことがある」と答えました。寄付した先にはどんな課題があるのか、寄付がどう活用されているか、今回のご報告を通じて、引き続き寄付のあり方やENWが組織として何ができるか、より一層考えを深めていきたいと思います。

 

 

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